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宝島社×日経DIコラボ企画
抗不整脈薬の飲み過ぎは突然死の恐れ
第3話:不安な薬剤師の処方解析(8)

2021/12/08

『このミス』大賞シリーズ 『薬も過ぎれば毒となる 薬剤師・毒島花織の名推理』(宝島社文庫)

 首を巡らすと白いレインコートを着た毒島さんが立っている。
 どうしてここにと思う間もなく、「林さんのお孫さんですね。私、どうめき薬局の毒島といいます。林マキ子さんが服用している薬について、至急お話ししたいことがあります」と喋り出す。

「今日の夕方、林さんから薬局に、前回受け取った薬が少ないと電話がありました。薬局が数を間違えたから、足りない分を持ってきてちょうだい、とのことでした。林さんが服用している薬は二種類あります。ひとつはロルバスクといって高血圧や狭心症の治療に使われる薬。もうひとつはジベノールといって不整脈の治療に使われる薬です。しかし薬局の在庫を調べた結果、数は合っているとわかりました。だとすると薬が足りないのは、薬局が間違えたのではなくて、林さんがなくしたか、飲み間違えたことが原因になります。なくしたならいいのですが、間違えて多く飲んだために数が足りなくなったとしたら、別の問題が発生します。肝臓や腎臓の機能が低下した高齢者には、ジベノールは副作用が発現しやすいというデータがあるのです」

 男は呆気に取られたようにぽかんと口をあけている。

連載の紹介

薬も過ぎれば毒となる 薬剤師・毒島花織の名推理
クールで謎めいた薬剤師・毒島(ぶすじま)花織が薬と事件の真相を解き明かす、宝島社文庫の話題の小説が、日経ドラッグインフォメーションOnlineに登場。作者は、2008年「毒殺魔の教室」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞優秀賞を受賞した塔山郁(とうやまかおる)氏。20年5月に続編となる「甲の薬は乙の毒 薬剤師・毒島花織の名推理」が発売。

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