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宝島社×日経DIコラボ企画
薬剤師、毒島花織の提案は…
第2話:お節介な薬剤師の受診勧奨(8)

2021/03/23

『このミス』大賞シリーズ 『薬も過ぎれば毒となる 薬剤師・毒島花織の名推理』(宝島社文庫)

「じゃあ、茜の症状が回復しないで薬ばかりが強くなっていったのは、私のせいってことですか」

 美和子はショックを受けたような声で言う。

「誰のせいということはありません。とりあえず理解してほしいのは、ステロイド外用薬はそこまで危険な薬ではないということです。用法用量を守って使えば、きちんとした効果が得られます。その逆に無闇に怖がって中途半端な使い方をすると、治るものも治らずに、何度も症状がぶり返すことになります」

 毒島さんは穏やかな声でゆっくりと説明した。

「アトピー性皮膚炎は完治が難しい病気です。医療現場でも統一された治療方針が確立されておらず、専門の医師の間でもステロイドの使用や治療方法については温度差があるのが現状です。将来、画期的な治療方法が確立されれば、これまでのことがすべて否定される可能性だってあります。ここまでお母さまの話を聞いて、アトピー性皮膚炎の対処に根本的な問題があったとは思いません。だからお母さまがご自身を責める必要はありません。あまり神経質になりすぎず、もっとおおらかに病気と向き合うことも、ときには必要なことだと思います」

連載の紹介

薬も過ぎれば毒となる 薬剤師・毒島花織の名推理
クールで謎めいた薬剤師・毒島(ぶすじま)花織が薬と事件の真相を解き明かす、宝島社文庫の話題の小説が、日経ドラッグインフォメーションOnlineに登場。作者は、2008年「毒殺魔の教室」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞優秀賞を受賞した塔山郁(とうやまかおる)氏。20年5月に続編となる「甲の薬は乙の毒 薬剤師・毒島花織の名推理」が発売。

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