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宝島社×日経DIコラボ企画
なくなった軟膏をとにかく探して
第2話:お節介な薬剤師の受診勧奨(4)

2021/02/22

『このミス』大賞シリーズ 『薬も過ぎれば毒となる 薬剤師・毒島花織の名推理』(宝島社文庫)

 バックヤードで自分の鞄からスマートフォンを取り出した。

 フロントを覗くと、団体客が到着したようで、てんやわんやの状態になっている。
 経験豊富な馬場さんに、どう対応すればいいかのアドバイスをもらいたいところだが、相談している余裕はなさそうだ。仕方ない。先に美和子と話をしてみよう。

 部屋に向かう途中、スマートフォンで近くの皮膚科を検索した。足立皮膚科があいていればと思ったが、生憎、土曜日は午前のみの診療だった。
 ならばと是沢クリニックのウェブサイトを見る。院長に誤診をされた因縁のクリニックだが、薬を処方してもらうだけだし、今回は目をつぶろうと考えたのだ。

 だが土日祝日は休診となっている。新宿や渋谷といった繁華街の周辺まで行かないと、この時間に診察している皮膚科はないようだ。
 となるとタクシーで行っても二十分以上はかかるだろう。ベッドの上で膝を抱えていた茜の姿が頭に浮かぶ。余計な移動で疲れさせたくはないが、他に選べる方法はない。

連載の紹介

薬も過ぎれば毒となる 薬剤師・毒島花織の名推理
クールで謎めいた薬剤師・毒島(ぶすじま)花織が薬と事件の真相を解き明かす、宝島社文庫の話題の小説が、日経ドラッグインフォメーションOnlineに登場。作者は、2008年「毒殺魔の教室」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞優秀賞を受賞した塔山郁(とうやまかおる)氏。20年5月に続編となる「甲の薬は乙の毒 薬剤師・毒島花織の名推理」が発売。

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