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宝島社×日経DIコラボ企画
病気にかかることは自己責任!?
第2話:お節介な薬剤師の受診勧奨(3)

2021/02/15

『このミス』大賞シリーズ 『薬も過ぎれば毒となる 薬剤師・毒島花織の名推理』(宝島社文庫)

「いや。平気です」

 なんとなく居心地が悪くて、爽太は勧めを断った。
 中野さんは悪い人ではないが、口調が強く、仕事に妥協がないことから、色々と問題のある人だった。
 仏頂面で、ぶっきらぼうなところも、人に敬遠される理由になっている。
 過去にはパートさんが苦情を書き連ねた投書を本部に送りつけたこともあったという。

 飲み物を注いだ紙コップは二つあった。
 中野さんはひとつを、「どうぞ」と爽太に差し出した。断るわけにもいかず、「いただきます」と手を伸ばして受け取った。

 中身は薄い茶色の液体だ。麦茶かと思ったが、口をつけると清涼感のある爽やかな味が広がった。

「ハーブティーですか」
「ラベンダーとカモミールのブレンドよ。水出しして作ったの」
 中野さんは紙コップに口をつけながら返事をする。

連載の紹介

薬も過ぎれば毒となる 薬剤師・毒島花織の名推理
クールで謎めいた薬剤師・毒島(ぶすじま)花織が薬と事件の真相を解き明かす、宝島社文庫の話題の小説が、日経ドラッグインフォメーションOnlineに登場。作者は、2008年「毒殺魔の教室」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞優秀賞を受賞した塔山郁(とうやまかおる)氏。20年5月に続編となる「甲の薬は乙の毒 薬剤師・毒島花織の名推理」が発売。

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