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宝島社×日経DIコラボ企画
水虫薬が効かない意外な理由
第1話:笑わない薬剤師の健康診断(4)

2020/10/27

『このミス』大賞シリーズ 『薬も過ぎれば毒となる薬剤師・毒島花織の名推理』(宝島社文庫)

「もうひとつお訊きしたいのですが、最初の診察のとき、顕微鏡検査はしましたか」
「顕微鏡検査ってなんですか」意味がわからず爽太は訊いた。

「ピンセットを使い、患部の皮膚、角質、爪の一部を採取して、薬液を使って菌を抽出する検査です。顕微鏡で見て、そこに白癬菌を確認できれば白癬感染症──足白癬という診断がくだされます」
「足白癬──?」
「水虫の正式な診断名です」
「いえ、そんな検査はしてないですが」

 是沢クリニックの院長は患部を見ただけで、ああ、水虫ね、と言ったのだ。
 いや、正確に言えば、最初に水虫と言ったのは自分だった。どうしました、と訊かれたので、水虫だと思うんですが市販薬を塗っても治らないので診てもらいに来ました、と答えると、院長はちらりと患部を見ただけで、じゃあ、薬を出すから、と頷いたのだ。

連載の紹介

薬も過ぎれば毒となる 薬剤師・毒島花織の名推理
クールで謎めいた薬剤師・毒島(ぶすじま)花織が薬と事件の真相を解き明かす、宝島社文庫の話題の小説が、日経ドラッグインフォメーションOnlineに登場。作者は、2008年「毒殺魔の教室」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞優秀賞を受賞した塔山郁(とうやまかおる)氏。20年5月に続編となる「甲の薬は乙の毒 薬剤師・毒島花織の名推理」が発売。

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