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宝島社×日経DIコラボ企画
「そんなことは薬局で聞きなさい」
第1話:笑わない薬剤師の健康診断(2)

2020/10/13

『このミス』大賞シリーズ 『薬も過ぎれば毒となる薬剤師・毒島花織の名推理』(宝島社文庫)

「水尾さんね。それでその後はどんな具合かな」

 背もたれのついた大きな椅子に背中を預けたまま、金縁の眼鏡をかけて、口ひげを生やした五十歳くらいの医師が言った。ホテルから歩いて十分ほどの場所にある是沢クリニックの院長だ。

「薬を塗ってもあまり効果がないようで。痒みがなかなか治まりません」

「薬が効かない?ちゃんと言われた通りに塗っているのかね」院長はパソコンを見ながら、疑うような声を出す。

「はい、一応」

「一応じゃダメだよ。薬剤師の指示通りにちゃんと塗らないと」

 治らないのは薬の塗り方が悪いとばかりの言い方だった。

連載の紹介

薬も過ぎれば毒となる 薬剤師・毒島花織の名推理
クールで謎めいた薬剤師・毒島(ぶすじま)花織が薬と事件の真相を解き明かす、宝島社文庫の話題の小説が、日経ドラッグインフォメーションOnlineに登場。作者は、2008年「毒殺魔の教室」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞優秀賞を受賞した塔山郁(とうやまかおる)氏。20年5月に続編となる「甲の薬は乙の毒 薬剤師・毒島花織の名推理」が発売。

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