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どうする?嚥下困難者へのPPI処方

2018/03/30

 はいっ!どーも!!嚥下困難者の調剤にひと工夫、ふた工夫している新井です。今回は、現時点で散剤が存在しないために四苦八苦するプロトンポンプ阻害薬PPI)の粉砕について、私の工夫を紹介したいと思います。

 現在、日本で処方可能なPPIといえば、オメプラゾール(商品名オメプラールオメプラゾン他)、ランソプラゾール(タケプロン他)、ラベプラゾールナトリウム(パリエット他)、エソメプラゾールマグネシウム水和物(ネキシウム)などがあります。

 悲しい話ですが、患者さんの手元でこれらの薬が粉々に砕かれていることがあります…。なぜ悲しい話なのかというと、皆さまご存知の通り、オメプラゾールなどは酸性条件下においてとても不安定なので、腸溶製剤になっているんですね。粉砕してしまうと、せっかくの腸溶製剤が何の意味もなさないことになります。

 例えばランソプラゾールは、先発品のタケプロンのインタビューフォームによると、pH5.0の水溶液中では30分で残存率50.1%、pH1だと30分で残存率約1.7%とほぼ失活します。胃酸はpH2~3で、薬剤の胃内滞留時間はおよそ1~2時間とされているので、粉砕したPPIは全く効果が見込めないことになります。

 では嚥下困難の患者さんに対して、私たちの薬局ではどうしているかというと、ランソプラゾールの口腔内崩壊錠を提案しています。ありきたりな話じゃないかという声が聞こえてきそうですが、患者さんの嚥下能によってもうひと工夫しています。

 というのも、在宅患者さんの場合、一包化した薬剤はできれば1用法につき1包である方が望ましく、粉薬と口腔内崩壊錠を別にするのはできれば避けたいところです。そのため薬局では、写真のように完全分包した後に軽くランソプラゾール口腔内崩壊錠を叩いて小さくするという方法を行っています。

著者プロフィール

新井翔(新井商事[東京都豊島区]取締役社長・exceed[大阪府八尾市]執行役員)あらい しょう氏 2007年城西大学薬学部卒業後、みよの台薬局(東京都北区)に入社し薬剤師1年目から在宅業務に携わる。田辺薬局(東京都中央区)、雄飛堂(東京都北区)勤務を経て、19年4月より現職。日本在宅薬学会評議員も務める。

連載の紹介

新井翔の「I love 在宅」
「在宅」に取り組もうとしたものの、現場の厳しさに心が折れそうになっていませんか?薬学部を卒業してから10年以上、在宅医療に体当たりで取り組んできた薬剤師の新井翔氏が、在宅医療の厳しさや喜びを現場からお伝えします。

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