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ガイドラインの推奨事項は“絶対”か

2019/06/11
青島 周一

 診療ガイドライン(以下、GL)は、最新の科学的根拠を体系的に整理した臨床現場における意思決定支援ツールの1つである。日本医療機能評価機構が運営するEBM普及推進事業「Minds」によれば、GLとは、「診療上の重要度の高い医療行為について、エビデンスのシステマティックレビューとその総体評価、益と害のバランスなどを考量して、患者と医療者の意思決定を支援するために最適と考えられる推奨を提示する文書」と定義されている1)。薬物療法の標準的な考え方を知る上で、薬剤師にとっても重要なツールであろう。

 GLにおける推奨事項の根拠となるのはいわゆる“エビデンス”であるが、その中でも「ランダム化比較試験はエビデンスレベルが高い」などと言われることも多い。ただ近年では、エビデンスレベルという概念はあまり重要視されなくなってきており、臨床課題(クリニカルクエスチョン)に対するエビデンスの総体を評価するという考え方にシフトしている。実際、「Minds 診療ガイドライン作成マニュアル2017」2)では、「研究報告単位の研究デザインのみに基づいたエビデンスレベル付けは、行なわなくてもよい」と明記されている。

 とはいえ、観察研究は前向きコホート研究や、国民規模の症例対照研究など、背景が十分調整された研究や大規模な研究をエビデンスとして取り扱うこととされ、そのエビデンスの強度も「弱」から評価を開始するなど、ランダム化比較試験より格下の扱いとなっている。さらに、「益の評価でシステマティックレビューや十分なランダム化比較試験がある場合は、観察研究の評価が省略できる場合がある」との記載もある。

著者プロフィール

青島周一(病院勤務薬剤師、「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰)あおしま しゅういち氏 2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て、12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBMスタイル診療支援”の確立を目指し、多方面で活躍している。著書に 『ポリファーマシー解決!虎の巻』(日経BP) がある。

連載の紹介

青島周一の「医療・健康情報を読み解く」
インターネットの急速な普及により、様々な医療・健康情報が、誰でも手軽に入手できる時代となっています。しかし、それらは必ずしも妥当な内容を含んでいるとは限りません。本連載では、臨床医学に関する学術論文、つまり科学的根拠を取り上げながら、一般的な常識にとらわれず、医療・健康問題について薬剤師的視点で考察していきます。

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