
抗インフルエンザ薬として、2018年3月に発売されたバロキサビルマルボキシル(商品名ゾフルーザ)。2018/19シーズンが本格的なデビューとなるためか、インフルエンザ流行シーズンに突入する前からインターネット上でも多くの情報が飛び交い、関心が高まっているようだ。
「インフルエンザ治療薬に革命!」といった見出しで、「飲み薬として世界で初めて1回飲むだけで治療が完了」「効き目が強い」といった内容を記載した記事や、「たった1回の服用で、1日でウイルスが消える」などの情報が一般メディアでも散見される。専門知識のない人からすれば、“革新的な新薬”という印象に映るのかもしれない。
オセルタミビルリン酸塩(タミフル他) をはじめ、従来から用いられてきた抗インフルエンザ薬は、ノイラミニダーゼを阻害することで、インフルエンザウイルスが細胞表面から放出されるのを抑制し、ウイルスの増殖を抑える薬剤であった。他方、バロキサビルは、インフルエンザウイルス特有の酵素であるキャップ依存性エンドヌクレアーゼの活性を選択的に阻害し、ウイルスのmRNA合成を阻害することでインフルエンザウイルスの増殖を抑制する、新しい作用機序を有する薬剤である。
今回は、医療者のみならず、一般の人からも注目されているバロキサビルの有効性・安全性について、検証していきたい。