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バロキサビルは“革新的”な新薬なのか?

2018/11/29
青島 周一

 抗インフルエンザ薬として、2018年3月に発売されたバロキサビルマルボキシル(商品名ゾフルーザ)。2018/19シーズンが本格的なデビューとなるためか、インフルエンザ流行シーズンに突入する前からインターネット上でも多くの情報が飛び交い、関心が高まっているようだ。

 「インフルエンザ治療薬に革命!」といった見出しで、「飲み薬として世界で初めて1回飲むだけで治療が完了」「効き目が強い」といった内容を記載した記事や、「たった1回の服用で、1日でウイルスが消える」などの情報が一般メディアでも散見される。専門知識のない人からすれば、“革新的な新薬”という印象に映るのかもしれない。

 オセルタミビルリン酸塩(タミフル他) をはじめ、従来から用いられてきた抗インフルエンザ薬は、ノイラミニダーゼを阻害することで、インフルエンザウイルスが細胞表面から放出されるのを抑制し、ウイルスの増殖を抑える薬剤であった。他方、バロキサビルは、インフルエンザウイルス特有の酵素であるキャップ依存性エンドヌクレアーゼの活性を選択的に阻害し、ウイルスのmRNA合成を阻害することでインフルエンザウイルスの増殖を抑制する、新しい作用機序を有する薬剤である。

 今回は、医療者のみならず、一般の人からも注目されているバロキサビルの有効性・安全性について、検証していきたい。

著者プロフィール

青島周一(病院勤務薬剤師、「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰)あおしま しゅういち氏 2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て、12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBMスタイル診療支援”の確立を目指し、多方面で活躍している。著書に 『ポリファーマシー解決!虎の巻』(日経BP) がある。

連載の紹介

青島周一の「医療・健康情報を読み解く」
インターネットの急速な普及により、様々な医療・健康情報が、誰でも手軽に入手できる時代となっています。しかし、それらは必ずしも妥当な内容を含んでいるとは限りません。本連載では、臨床医学に関する学術論文、つまり科学的根拠を取り上げながら、一般的な常識にとらわれず、医療・健康問題について薬剤師的視点で考察していきます。

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