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「空間除菌」に感染症予防効果は期待できる?

2018/10/25
青島 周一

 インフルエンザやノロウイルスなど、感染症が流行しやすい冬季になると、二酸化塩素による空間除菌をうたった商品(以下、空間除菌商品)がドラッグストアなどの売り場で目に付くようになる。「お部屋の空気まるごと除菌」などの宣伝文句は、感染症予防意識の高い消費者にとって、とても魅力的なものに映るかもしれない。

 しかし、こうした空間除菌商品については、これまでもたびたび有効性が疑問視されてきた。

 2011年に国民生活センターが行った調査1)においては、「二酸化塩素による部屋などの除菌をうたった商品は、様々な状況が考えられる生活空間で、どの程度の除菌効果があるのかは現状では分からない」と結論付けられた。また、安全性についても、米国産業衛生専門家会議(ACGIH)が定めている大気中の二酸化塩素の許容濃度(0.1ppm2))を超える商品があったり、一方で、二酸化塩素の放散がほとんど確認できない商品も存在し、使用の際に注意が必要とされた。14年3月には、消費者庁が、二酸化塩素を利用した空間除菌を標榜する販売業者17社に対して、広告表記に関する措置命令を下している3)

 その後、販売業者は不適切な広告表現を改めるなど対応したようではあるが、商品自体は現在も販売されている。勤務先の薬局でこれらの商品を扱っていたり、商品の感染症予防効果について、来局者に尋ねられた経験のある読者もいるのではないだろうか。本商品の効果について薬剤師としてどう捉えればいいのか、最近のエビデンスも踏まえながら考察していこう。

著者プロフィール

青島周一(病院勤務薬剤師、「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰)あおしま しゅういち氏 2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て、12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBMスタイル診療支援”の確立を目指し、多方面で活躍している。著書に 『ポリファーマシー解決!虎の巻』(日経BP) がある。

連載の紹介

青島周一の「医療・健康情報を読み解く」
インターネットの急速な普及により、様々な医療・健康情報が、誰でも手軽に入手できる時代となっています。しかし、それらは必ずしも妥当な内容を含んでいるとは限りません。本連載では、臨床医学に関する学術論文、つまり科学的根拠を取り上げながら、一般的な常識にとらわれず、医療・健康問題について薬剤師的視点で考察していきます。

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