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血糖コントロール目標に対する違和感

2018/04/27
青島 周一

 米国内科学会(ACP)は2018年3月6日、HbA1c目標値に関するガイダンスを公表した【論文1】。妊婦を除く成人2型糖尿病患者の薬物療法に対するガイダンスで、その多くの患者において、HbA1cの管理目標値を7~8%にすべきと推奨している。

【論文1】
Qaseem A.et al.Hemoglobin A1c Targets for Glycemic Control With Pharmacologic Therapy for Nonpregnant Adults With Type 2 Diabetes Mellitus:A Guidance Statement Update From the American College of Physicians.Ann Intern Med.2018 Mar 6.[Epub ahead of print] PMID:29507945

 いかがだろうか。「7~8%」という数値を見て、衝撃を受けた人も多いのではないだろうか。公開された4つのステートメントを以下に示す。

(1)臨床医は、2型糖尿病患者の血糖コントロール目標を、薬物療法のベネフィットとリスク、患者の嗜好、患者の健康状態と生命予後、治療負担、療養に関わるコストに基づいて個別化すべきである。

(2)臨床医は、ほとんどの2型糖尿病患者においてHbA1c値を7~8%にすることを目指すべきである。

(3)臨床医は、HbA1c6.5%未満の2型糖尿病患者においては薬物療法の減薬を検討すべきである。

(4)臨床医は、生命予後が10年未満と思われる高齢者(80歳以上)、介護施設入所者、慢性疾患(認知症、癌、末期腎不全、重度の慢性閉塞性肺疾患[COPD]、うっ血性心不全)を合併している2型糖尿病患者については、治療によるベネフィットよりもリスクが上回るため、HbA1cの目標を設定することは避け、高血糖に関連する自覚症状が最小限になるような治療をすべきである。


 このステートメントに関して、異論も含め様々な意見があると思う。実際、米国糖尿病学会(ADA)は、2018年3月8日付で「ACPのガイダンスは、レガシー効果(糖尿病発症早期における厳格血糖コントロール治療の長期的な恩恵)を考慮していない」と批判している。

著者プロフィール

青島周一(病院勤務薬剤師、「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰)あおしま しゅういち氏 2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て、12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBMスタイル診療支援”の確立を目指し、多方面で活躍している。著書に 『ポリファーマシー解決!虎の巻』(日経BP) がある。

連載の紹介

青島周一の「医療・健康情報を読み解く」
インターネットの急速な普及により、様々な医療・健康情報が、誰でも手軽に入手できる時代となっています。しかし、それらは必ずしも妥当な内容を含んでいるとは限りません。本連載では、臨床医学に関する学術論文、つまり科学的根拠を取り上げながら、一般的な常識にとらわれず、医療・健康問題について薬剤師的視点で考察していきます。

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