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高齢者におけるスタチン療法の価値

2017/11/30
青島 周一

 薬の効果について、患者個別の時間軸を含めて考えると、大きく予防的薬剤対症的薬剤に分けることができる。前者は将来的な生命予後リスクに影響を与える薬剤、後者は今現在において発症している症状に影響を与える薬剤と言い換えてもよい。

 対症的薬剤は、主に症状の改善や緩和など対症療法に用いる薬剤を指し、その代表的なものに非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)やベンゾジアゼピン系薬などが挙げられる。他方、予防的薬剤は、主に慢性疾患における将来的な合併症リスク低下や死亡の先送り効果を期待するもので、代表的な薬剤として降圧薬や糖尿病治療薬、脂質異常症治療薬などが挙げられる。

 例えば、降圧薬は最終的には脳卒中発症リスクの低下、死亡の先送り、つまり延命を目的として投与されるわけであって、血圧を下げる効果のみを期待して投与するわけではない。これは、糖尿病治療や脂質異常症治療などにおいても同様である。しばしば忘れがちになるが、血糖値やHbA1cやコレステロール値の改善は治療における最終的な目的でなく、あくまで手段にすぎない。

 こうした予防的薬剤の効果を考える際に重要な要素がある。それは余命だ。特に超高齢者では、残された余命に対して予防的薬剤の恩恵が十分に得られるものかどうか熟慮する必要がある。今回は高齢者におけるスタチン療法の有効性を検討した論文を取り上げ、近年話題のポリファーマシーも含め、患者個別の時間軸と、高齢者におけるスタチンの薬剤効果について考察してみたい。

著者プロフィール

青島周一(病院勤務薬剤師、「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰)あおしま しゅういち氏 2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て、12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBMスタイル診療支援”の確立を目指し、多方面で活躍している。著書に 『ポリファーマシー解決!虎の巻』(日経BP) がある。

連載の紹介

青島周一の「医療・健康情報を読み解く」
インターネットの急速な普及により、様々な医療・健康情報が、誰でも手軽に入手できる時代となっています。しかし、それらは必ずしも妥当な内容を含んでいるとは限りません。本連載では、臨床医学に関する学術論文、つまり科学的根拠を取り上げながら、一般的な常識にとらわれず、医療・健康問題について薬剤師的視点で考察していきます。

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