
我々は、インターネットを通じて様々な情報にアクセスできる時代を生きている。しかし、それらの情報が必ずしも妥当な内容を含んでいるとは限らない。特に医療・健康情報については、人々の生活に大きな影響をもたらすこともあるため、その内容の妥当性は軽視できない。
このコラムでは、妥当性の高い医療・健康情報、つまり臨床医学に関する学術論文を紹介しながら、一般的な常識に流されることなく、医療・健康問題について考察していく。さらに論文情報を実際の現場でどう活用すればよいか、筆者なりの視点を提案していきたいと思う。
連載第1回の今回は、食習慣をテーマに取り上げたい。
「食の欧米化」とはよく耳にする言葉だが、健康面においてはあまりポジティブな意味合いが付与されていないように思える。「片寄った食事」「コレステロールたっぷりの食事」といった、いかにも不健康そうな食習慣がイメージされ、脂質異常症や高血圧、糖尿病のような、いわゆる生活習慣病やメタボリックシンドロームなどを思い浮かべる人も多いのではないだろうか。他方、伝統的な日本食は、塩分などの問題はあるにせよ、なんとなくヘルシーなイメージが強いが、果たして本当にそうなのだろうか。
今回紹介するのは、そんな疑問に対する多くの示唆が含まれた論文である。薬局で栄養指導を行う機会の多い薬剤師にとって、興味深い内容だ。