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総論(その3)
deprescribing実践の「技と心」を伝授!

2016/03/07
内海真希

 前回は、ポリファーマシーや潜在的に不適切な薬剤の使用(PIMs)に対して、薬剤師がクライテリアに従った機械的な介入を行うだけでは、患者さんの予後改善効果は期待できそうにないことを紹介しました。では、ポリファーマシーという問題に、僕たち薬剤師はどう関わればよいのでしょうか。その方法論として僕が注目しているのがdeprescribing(デ・プレスクライビング)です。現段階では適当な日本語訳がないのですが、僕は「減処方」と呼んでいます。このコラムではdeprescribingで統一したいと思います。

 2015年、deprescribingの具体的手順が分かりやすく示された論文が出ました(JAMA Intern Med.2015;175(5):827-34. PMID:25798731)。タイトルは「Reducing inappropriate polypharmacy: the process of deprescribing」。不適切なポリファーマシーを減らすためのdeprescribingプロセスというわけです。ポリファーマシーは善でも悪でもないことは、総論その1その2で考察してきました。このdeprescribingがターゲットとしているのは、不適切なポリファーマシーです。

 この論文によると、deprescribingは次の5つのステップで行います。

(1)患者が現在使用している全ての薬剤について、処方理由を再確認する。
(2)個々の患者における薬剤有害事象の全体的なリスクを把握し、積極的に介入をすべきかを評価する。
(3)各薬剤における、潜在的なリスクとベネフィットを評価し、中止の妥当性について検討する。
(4)低リスク・高ベネフィット、退薬症状、患者の希望などを考慮して中止薬剤の優先順位を決める。
(5)中止レジメンを実行し、アウトカムの改善や副作用発現のために注意深く患者を観察する。

著者プロフィール

青島周一(病院勤務薬剤師、「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰)
あおしま しゅういち氏 2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て、12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBMスタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録をブログ「地域医療の見え方」などに書き留めている。

連載の紹介

青島周一の「これで解決!ポリファーマシー」
近年、医療現場では多剤併用(ポリファーマシー)が問題となっています。本連載ではポリファーマシーの具体的な症例を提示しながら、薬学的・医学的な問題点を整理するプロセスや、医療従事者と患者が抱いている薬物療法へのイメージのギャップをどう埋めるかについて考えていきます。論文の読み方は、「症例から学ぶ薬剤師のためのEBM」を参照してください。

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