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脳卒中発症から5年以内の自殺リスク、脳卒中非発症の約10倍

 脳卒中を発症した人において、発症後5年以内の自殺やその他の外因死のリスクは、脳卒中を発症していない人に比べて、それぞれ約10倍高いことが示された。多目的コホート研究(JPHC)の成果の1つで、6月20日にPsychosomatic Medicine誌のオンライン版で発表された。

 精神疾患が自殺に関連する要因の1つであることはよく知られているものの、身体疾患と自殺との関連については報告が少ない。また、不慮の事故などの外因死についても、自殺と同様に様々な心理社会的要因との関連が示唆されている。そこでJPHC研究では、脳卒中発症に焦点を当て、発症後の自殺およびその他の外因死に及ぼす影響について検討した。

 対象は、JPHC研究に登録された40~69歳の男女約12万人。研究開始(1990年または1993年)から2010年まで追跡した調査結果をもとに、脳卒中発症と自殺リスクとの関連を検討した。研究開始時点で行ったアンケート調査に回答した人のうち、約9万3000人が今回の解析対象となった。また、このうち追跡期間中に約4800人が脳卒中を発症した。

 追跡期間中に脳卒中を発症した群では、発症後5年以内に17人が自殺で、34人がその他の外因で死亡した。また、脳卒中から5年目以降の自殺は5人、外因死は19人だった。これに対し、脳卒中非発症群では490人が自殺で、675人がその他の外因により死亡していた。

 解析の結果、脳卒中非発症群の自殺リスクおよび他の外因死リスクに比べて、脳卒中発症群の5年以内の自殺リスクおよび他の外因死リスクは、どちらも約10倍と高率だった。

 なお、発症後5年以上経過した段階での検討では、自殺リスクおよび他の外因死リスクは、脳卒中発症の有無で違いは見られなかった。

 著者らは、先行研究で脳卒中発症後にうつ病リスクが高まることが指摘されており、そのうつ病が自殺の危険因子の1つであることから脳卒中発症後に自殺リスクが高くなったのではないかと考察している。またその他の外因死リスクについては、脳卒中発症後に様々な身体的および認知的な障害が残ることが多いことを指摘。心理的ストレスやライフスタイルの変化が大きく、不慮の事故のリスクも高まることなどが他の外因死リスクの上昇につながったと考察している。

 今回の成果から著者らは、脳卒中発症後5年以内においては、(1)脳卒中発症後のうつ病・抑うつ状態をきちんと把握すること、(2)脳卒中発症後のリハビリテーションにより身体的および認知的な障害の程度を小さくすることが、自殺およびその他の外因死の予防を考えるうえで重要であること――を示唆するとまとめている。

 JPHC研究は、「多目的コホートに基づくがん予防など健康の維持・増進に役立つエビデンスの構築に関する研究」(主任研究者:津金昌一郎・国立がん研究センターがん予防・検診研究センター長)において全国11保健所と国立がん研究センター、国立循環器病研究センター、大学、研究機関、医療機関などとの共同研究として行われている。

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