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第39回日本脳卒中学会リポート
「被災地の脳卒中は増えていない」、岩手県沿岸南部からの報告

 岩手県の沿岸南部に位置する大船渡市と陸前高田市で被災者の血圧変動と脳卒中動向を継続的に調査した結果、発災から3年弱で被災者の血圧は正常化し、被災者の脳卒中発生数も増加は認められないことが報告された。岩手県立大船渡病院救命救急センターの山野目辰味氏らが3月に大阪で開催された日本脳卒中学会で発表した。

 調査は、2011年3月~2013年12月に、大船渡市と陸前高田市の避難所および仮設住宅の居住被災者を対象に行った。毎回、無作為に84-427人を対象に血圧を測定した。血圧測定は上腕動脈2回測定とし、3~4カ月ごとに実施した。

 両市の平均収縮期血圧(SBP)の推移を分析した。脳卒中は圏域内の99.9%の急性期脳卒中患者が入院している岩手県立大船渡病院の患者を対照とし経時的に発症数を分析した。比較対照としては、2010年の脳卒中発症数を用いた。

 調査の結果、(1)平均SBPは被災直後では両市とも140~150mmHg前後が半年前後続いたが、その後は徐々に下降、2013年12月現在で正常範囲となった、(2)一戸建て木造仮設住宅の住田町、高田市小友町モビリアでは正常範囲で推移していた、(3)脳卒中発症数・罹患率については、どちらも被災前と比較して統計学的に有意差はなく推移しており増加は認めなかった(P=0.41)、(4)各市町別でも脳梗塞、脳出血、くも膜下出血すべてで増加は認めず、罹患率も同様だった(図1)、(5)被災者の脳卒中に占める率は平均18%で、仮設住宅入居者の人口に占める率22.4%に比べて多くはなかった、などが明らかとなった。

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