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亀田総合病院循環器内科・鈴木誠氏に聞く
「心不全管理カンファレンス」のその先へ

亀田総合病院循環器内科部長・鈴木誠氏
・略歴
1989年東邦大学医学部卒、同年東京医科歯科大学第3内科(現循環器内科)入局。一般内科研修後は一貫して循環器内科臨床・研究に従事する。1999~2000年米国ハーバード大学附属Bringham& Women's Hospitalに留学。2001年4月より亀田総合病院に勤務。専門分野は不整脈、不整脈アブレーション・植え込み型除細動器治療、心臓再同期療法、遠隔モニタリング。

 2013年、心不全管理のチーム医療をテーマに据えた研究会が、関西と関東に誕生した。兵庫・大阪・京都 心不全チーム医療研究会と心不全管理カンファレンスだ。どちらも、多職種が関わってこそ、新たな心不全の臨床が展開できると確信している。関東では6つの基幹病院が参加。それぞれの病院で始まったチーム医療に基づく心不全管理の試みを持ち寄り、施設の壁を超えたカンファレンスという形で情報共有を図る。主宰者である亀田総合病院循環器内科部長・鈴木誠氏に、カンファレンスの今後を聞いた。

―― 第1回カンファレンスで特別講演を行った自治医科大学附属さいたま医療センターの百村伸一先生は、「鈴木先生の熱意にほだされて心不全管理カンファレンスの立ち上げに参画した」と話されました。百村先生とは以前からのお知り合いだったのでしょうか。

鈴木 循環器領域の医師であれば百村先生を知らない人はいません。そういう先生にカンファレンスの世話人として参画していただけたのは、本当に素晴らしいことだと感謝しています。自治医大さいたま医療センターを始め、北里大学病院、榊原記念病院、日本医科大学千葉北総病院、聖路加国際病院、そして亀田総合病院と関東の基幹病院がカンファレンスに参加しているのも、百村先生のご尽力の賜物です。

―― 鈴木先生の熱意をしっかりと受け止められたからと思いますが、どうやってアプローチされたのですか。

鈴木 直接お会いして、カンファレンスの趣旨を説明しました。もちろん、手紙を差し上げてからですが。学会などでお見受けした時も、カンファレンスの必要性を説明させてもらいました。心不全の管理・治療において、地域のランドマーク病院になれる施設に参加してもらいたかったので、百村先生には何が何でも参加していただきたいと思っていました。

―― そもそもですが、カンファレンスを立ち上げた理由は何ですか。

鈴木 まず、人口が高齢化するにつれて心不全患者が増加の一途にあります。厚生労働省統計情報部の人口動態統計の概況をみると、慢性心不全患者の数は、1980年代は全国で15万人から16万人ぐらいで推移していました。それが1990年代に入り18万人から20万人へと急激に増えたのです。今後、高齢化が進むにつれ、これが加速度的に増えると予想されています。

 また心不全の患者さまの背景は、施設入居だったり、独居だったり、あるいは寝たきりだったりと様々です。医師だけで対応できるような甘い状況ではないわけです。多職種の医療専門職が参画し、チーム医療として多面的にアプローチしなければ対応できないという危機感があります。

―― 1つの施設だけでも無理という認識がカンファレンス立ち上げの原動力だったのだと理解しましたが、まず足元の亀田総合病院の取り組みについてご紹介いただけますか。

鈴木 2008年から、房総エリアの医療の質向上を目的に、病診連携ネットワーク(M-net)を展開しています。これは冠動脈CT予約を軸とした患者紹介連携パスの実践です。2011年からは、このM-netを利用して、生活習慣病患者の慢性心不全スクリーニングによる病診連携に取り組んでいます。心不全予備軍を早期に発見することが目的で、心筋バイオマーカーを用いた病診連携を提案しています。これらの活動は、地域で心不全の患者さまを診ていこうという発想で始めたものです。

―― 房総エリアは、千葉県の中でも高齢化が進んでいる地域と伺いました。

鈴木 平成23年4月1日の千葉県高齢者保健福祉圏域別高齢者人口をみると、すでに20.8%に達しています。安房は32.9%で県内の1位です。房総エリアで最も低い市原でも20.8%なのです。全国を先取りしている地域と言えますから、多職種による心不全チーム医療に取り組むのは必然のことだったのです。

―― 2013年には心不全患者の外来管理も始められました。

鈴木 2012年から取り組んでいる心臓疾患におけるチーム医療推進プロジェクトの一環です。医師、慢性心不全認定看護師、薬剤師、理学療法士、栄養士、臨床工学師らで循環器チームを編成し活動しています。心不全患者の外来管理は、慢性心不全認定看護師が主軸となり、現在、電話による患者の状況把握を中心に活動しています。心不全患者に対して、多職種で対応することで、在宅から予防管理まで幅広い治療を提供しています。

―― 在宅にも積極的に取り組んでいます。

鈴木 タブレットを活用して在宅療養中の心不全患者のフォローアップに取り組んでいます。生活全体に渡るもので、当然、多職種の関わり合いとなっています。

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