
済生会熊本病院医療支援部医療企画室の長松佳蓉氏
頸動脈狭窄症の治療法別に原価計算手法を用いて収入と費用の差額を求めたところ、動脈血栓内膜摘出術(CEA)は約33万円、経皮的頸動脈ステント留置術(CAS)は約25万円となり、CEAがCASより収益性が高いことが示された。済生会熊本病院が取り組んでいる収益性の検証の一環で明らかになったもの。同病院医療支援部医療企画室の長松佳蓉氏らが6月に名古屋で開催された第11回日本頸部脳血管治療学会で報告した。
演者らは2010年の治療症例をもとに平均的な症例をモデルケースとし、CEA例およびCAS例のそれぞれについて、収入となる診療報酬請求点数(DPC請求)を比較した。同時に、直接費・機器償却費、光熱水費などの間接費を算出し、CEAとCASの収益性を検証した。
CEAのモデルケースは、入院区分が手術目的・予定入院、退院時転帰が軽快、在院日数が10日、麻酔法が全身麻酔、手術時間が4時間、保険償還材料がスパイラル気管内チューブ、膀胱留置カテなど、手術術式が動脈血栓内膜摘出術(内頸動脈)、手術点数が4万3880点などだった(表1)。