日経メディカルのロゴ画像

速報◆動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012版(No.1)
世界標準に沿って絶対リスクによる評価を導入

2012/07/05
編集部

 日本動脈硬化学会は6月末、「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012版」を発行した。前回の2007年版から5年ぶりの改訂となる。2012年版の主な改訂点は、(1)絶対リスク評価による患者の層別化、(2)診断基準における境界域の新設、(3)脂質管理目標値へのnon HDL-Cの導入、(4)動脈硬化性疾患の包括的管理、(5)高リスク病態によるリスク層別化の強化──の5つ。これらの項目ごとに改訂のポイントをピックアップした。今回は改訂の柱である「絶対リスク評価による患者の層別化」に着目する。

 日本動脈硬化学会は、動脈硬化性疾患予防のための標準的診療を提示する目的でガイドラインを作成している。1997年に初めて高脂血症診療ガイドラインを発表、その後、動脈硬化性疾患診療ガイドライン2002年版、動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版を作成し、今回の2012年版(以下、ガイドライン2012)にいたっている。

 改訂のたびに最新のエビデンスを盛り込んできたガイドラインだが、今回のガイドライン2012では、世界標準に沿って絶対リスクによる評価を盛り込んだ点で画期的なものとなった。

 ガイドライン2012では、動脈硬化性疾患の代表格である冠動脈疾患(CHD)を取り上げ、その一次予防のための管理区分を「低リスク」「中リスク」「高リスク」の3つのカテゴリーに層別化した。その基準に、10年間のCHD死亡確率(絶対リスク)を導入した。具体的には、10年CHD死亡確率0.5%未満をカテゴリーI(低リスク)、0.5%以上2%未満をカテゴリーII(中リスク)、2%以上をカテゴリーIII(高リスク)とした。

 患者の層別化に絶対リスク評価を採用した点について日本動脈硬化学会は、欧米などの世界的標準に沿ったものと説明する。これには、NIPPON DATA80を基に、日本人の男女別10年CHD死亡確率が完成したことが大きく貢献している(図1)。

 10年間CHD死亡確率は、「性」「随時血糖値」「喫煙の有無」「年齢」「血清総コレステロール」「収縮期血圧」の6項目を確認することで、個々人の死亡確率が求められる。たとえば、50代男性で、喫煙習慣があり、随時血糖値が180mg/dL、収縮期血圧が180mmHg、血清総コレステロールが270mg/dLの場合、以下の手順で絶対リスクを求める。

 まず男性であることから、図1の上段の評価シートを使う。随時血糖値が180mg/dLであるため「随時血糖値<200mg/dL」(左半分のシート群)に目を向ける。次に、喫煙習慣があるので、左から2列目の評価シートに絞り込み、さらに年齢が50代であることから上から3段目のシートにとたどっていく。ここで収縮期血圧(180mmHg)と血清総コレステロール(270mg/dL)の値から、「収縮期血圧180-199」と「血清総コレステロール6(260-279)」がクロスする升目の色がこの男性の絶対リスクとなる。この場合、升目の色は黄色であり、絶対リスクは2-5%となる。

この記事を読んでいる人におすすめ