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循環器プレミアム速報
動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012、今春発表
絶対リスクやnon HDL-Cでの評価が登場、数値基準は変わらず(2012.3.7訂正)

2012/02/08
高志 昌宏

帝京大内科教授の寺本民生氏

 2月5日に鹿児島市で開催された第12回動脈硬化教育フォーラム(主催:日本動脈硬化学会)で同学会動脈硬化診療・疫学委員会長の寺本民生氏(帝京大内科教授)が、近く発表が予定されている「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012」の主な改訂点を解説した。

 血清脂質の診断基準値や管理目標値は現行の2007年版ガイドラインから変わっていないが、低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)で120~139mg/dLを新たに「境界域高LDL-C血症」と定義したほか、絶対リスクによる評価、高血圧のように動脈硬化性疾患の危険因子となる疾患の包括的管理の強調、非・高比重リポ蛋白コレステロール(non HDL-C)指標の導入など、大きな改変がなされている。

 境界域高LDL-C血症を設定した理由は、本ガイドラインでは診断基準を脂質異常症のスクリーニング目的と位置付けているためという。高LDL-C血症と診断されなくても、LDL-C値が120mg/dL以上だった場合は、背景に動脈硬化性疾患の高リスク病態が隠れていないか検討すべきとの考え方に基づいた。

 なおLDL-C値は直接測定法ではなく、フリードワルドの式に従って算出することを求めた。ただし同式は、空腹時の採血で中性脂肪(TG)値が400mg/dL未満の場合にのみ適用できる。TG値が400mg/dL以上または食後採血である場合は、non HDL-C値(総コレステロール値-HDL-C値)での判断を推奨した。

 動脈硬化性疾患リスクの評価を絶対リスクに基づいて行うようにしたことも、大きな改訂点の1つだ。これまでは相対リスクで評価していたが、最近の欧米のガイドラインでは、虚血性心疾患の10年間の発症リスクや心血管疾患による10年間の死亡リスクなど、いずれも絶対リスクによる評価法を採用している。

 このような世界的な流れに対応するとともに、性差や加齢に伴うリスク上昇を加味して判断できるようにするため、絶対リスクによる評価が採用された。具体的には、NIPPONDATA80の解析結果に基づき、1次予防ではカテゴリーI(10年間の冠動脈疾患死亡が0.5%未満の低リスク)、カテゴリーII(同:0.5~1.9%)、カテゴリーIII(同:2.0%以上の高リスク)の3段階に分類する。

 なお、NIPPONDATA80では、家族歴や低HDL-C血症、耐糖能異常などは評価されていない。そこでこれらは追加リスクと見なし、存在する場合はカテゴリーを1段階上げる。

 ただし、動脈硬化性疾患の高リスク病態である、糖尿病(耐糖能異常を除く)、慢性腎臓病、非心原性脳梗塞、末梢動脈疾患がある場合は、それだけでカテゴリーIIIになる。
 

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