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日本冠疾患学会2011
PCI後のニコランジル投与で冠微小循環障害が改善
ATP感受性Kチャネル開口作用を介して微小血管を拡張

2012/02/08
高橋 浩=メディカルライター

大阪府済生会千里病院千里救命救急センターの伊藤賀敏氏

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後の冠微小血管抵抗指数(index of microcirculatory resistance:IMR)が高い心筋梗塞(MI)症例は、慢性期の心機能が不良であると報告されている。大阪府済生会千里病院千里救命救急センターの伊藤賀敏氏らは、第25回日本冠疾患学会学術集会(2011年12月16~17日、開催地:大阪市)で、PCI後のニコランジル冠注により、IMRの改善が可能だった成績を報告。冠微小循環まで考慮したMI治療戦略の意義を強調した。

 ST上昇型心筋梗塞(STEMI)に対する再灌流療法は、冠動脈造影(CAG)でTIMI 3 flowを獲得することを目標に行われる。しかし、CAGで捉えている主要な表在冠動脈は、冠循環の5%程度に過ぎない。実際には、CAGで評価できない、きわめて多くの微小循環が心筋血流に寄与している。

 TIMI 3を獲得しても、no-reflow現象などの高度な冠微小循環障害があれば、良好な慢性期予後を期待することは難しくなる。TIMI 3を獲得したPCI患者の16%は、心筋灌流が得られず、no-reflow現象を来すという報告もある。

 こうした知見から伊藤氏らは、STEMI症例で良好な予後を得るには、冠微小循環も念頭に置いた再灌流療法が不可欠だと考えた。冠微小循環障害の評価法には心筋コントラストエコー法をはじめ、さまざまな方法があるが、定量評価できるIMRもその1つ。

 IMRは、圧ガイドワイヤーを用いた熱希釈法で得られる冠血流の平均通過時間(Tmn)と遠位部冠動脈圧(Pd)から、PCI中にリアルタイムに算出することが可能だ。急性期に測定したIMR値により、慢性期の左心機能を予測できるとされる。

 Fearonらは、PCI後のIMRが32U以上の場合は3カ月後の左室wall motion score(WMS)の回復が悪いこと、Limらは、IMR 33U以上の症例ではWMSの改善が難しいことを報告している。

 しかし、これまでIMRを低下させる方法は明らかではなかった。そこで伊藤氏らは、まず末梢保護デバイス(ニプロ社製Filtrap)に着目。デバイス使用群のIMRは、非使用群に比べて有意に低値になる成績を得た。
 

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