日経メディカルのロゴ画像

New Insight from Basic Research
ニトログリセリン耐性の新たな問題
持続投与はかえって心筋梗塞を悪化させる可能性

2012/02/07
古川 哲史=東京医科歯科大学

 街頭で「知っている薬をあげてください」と100人に尋ねたら、ペニシリンやアスピリンにはかなわないだろうが、ニトログリセリン(NTG)もベスト10には入ることだろう。このようにポピュラーで使用頻度も高いNTGだが、長く使用するとだんだん効きが悪くなるニトロ耐性NTG tolerance)の問題が知られている。

 Science Translational Medicine誌の2011年11月2日号に、ラットを用いた動物実験から、NTGを持続投与すると心筋梗塞(MI)のサイズが2倍以上も増大したというショッキングな論文が掲載された。しかも、NTG toleranceと同じメカニズムが関与しているというのだ。

Sun L, et al. ALDH2 activator inhibits increased myocardial infarction injury by nitroglycerin tolerance. Sci Transl Med. 2011;3(107):107ra111.

NTG toleranceの機序

 硝酸薬が血管拡張作用を示すのは、硝酸薬から放出される一酸化窒素NO)の働きによる。NOが硝酸薬から放出されるメカニズムは、主に2つある。

 硝酸薬の中でNTGなどの高力価(high potency)硝酸薬は、ミトコンドリアに存在するアルデヒド脱水素酵素(aldehyde dehydrogenase:ALDH)のアイソフォーム2(ALDH2)の作用により、NOを放出する(図1左)。一方、硝酸イソソルヒド(isosorbide dinitrate:ISDN)などの低力価(low potency)硝酸薬は、小胞体に存在するチトクロームP450(CYP450)によりNOを放出する(図1右)。

この記事を読んでいる人におすすめ