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日本冠疾患学会2011
CABG患者の予後判定に術前CKDレベルが有用
腎合併症、感染症、総死亡のいずれにも有意に関連

2012/01/31
高橋 浩=メディカルライター

京大心臓血管外科学の南方謙二氏

 冠動脈バイパス術CABG)患者の予後、特に腎合併症、感染症、総死亡に対して、術前の慢性腎臓病CKD)レベルが有意な影響因子となることが、全国14施設のCABG患者約1500例を対象とした後向きコホート研究で明らかになった。京大心臓血管外科学の南方謙二氏らが、第25回日本冠疾患学会学術集会(2011年12月16~17日、開催地:大阪市)で報告した。

 糖尿病患者で認められる冠動脈病変は、びまん性や多枝病変であることが多く、一般に経皮的冠動脈インターベンション(PCI)治療に抵抗性とされる。最近は糖尿病合併例に対するPCIの成績も向上し、死亡、心筋梗塞、脳卒中などに関してはCABGとほぼ同等の予後が報告されているが、主要心脳血管イベント(MACCE)ではCABGの方が優れている。糖尿病合併例におけるCABGの意義は、今なお大きい。

 ただし、糖尿病合併例に対するCABGでは、前縦隔炎などの感染症や急性腎障害を起こしやすい。こうした術後イベントに影響する術前因子を明らかにし、良好な予後を得るための対策を確立していく必要がある。

 南方氏らは今回、2009~10年度厚生労働省・生活習慣病等戦略事業・科学研究費助成研究「糖尿病患者における心血管イベント発症に関する後ろ向きコホートに関する研究:冠動脈手術前後の至適血糖コントロールに関する多施設共同研究」(JMAP)のサブ解析として、CABGの術後イベントに及ぼす糖尿病および術前CKDレベルの影響を検討した。対象は、JMAP研究に参加した全国14施設で2007~2008年に単独CABGが施行された、20歳以上の1522例。

 まず、糖尿病について記載があった症例をその有無で2群に分け、術後イベントに影響する因子を検討した。

 糖尿病群(849例)の患者背景を非糖尿病群(572例)と比べると、HbA1c値が高かったほか、左室駆出率50%未満、CKD(術前血清クレアチニン2.0mg/dL以上)、末梢血管障害が有意に多く、慢性閉塞性肺疾患(COPD)が有意に少なかった。

 術後イベントに及ぼす糖尿病の影響について単変量解析したところ、感染症、総死亡、感染症関連死において糖尿病が有意に関連した。

 続いて、術後感染症に関連する因子について多変量解析を行ったところ、有意な関連因子となったのは性別(男性)、体重指数(BMI)、CKDで、糖尿病は有意性が認められなかった。総死亡に関連する因子の多変量解析でも、糖尿病は有意ではなく、CKD、COPD、緊急手術が有意な関連因子だった。
 

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