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米国心臓協会(AHA)2011
入院患者のVTE予防、apixabanに優越性認めず
短期のエノキサパリン投与との比較、ADOPT試験

米国・Brigham and Women's HospitalのSamuel Z. Goldhaber氏

 低分子量ヘパリン製剤であるエノキサパリンは、入院患者の静脈血栓塞栓症VTE)予防薬として効果が認められているが、注射薬という制約がある。今回、経口薬である直接的Xa因子阻害薬apixabanを入院中だけでなく退院後も投与してエノキサパリンとVTE予防効果を比較するADOPT試験が行われたが、エノキサパリンを上回る有用性は証明できなかった。

 米国・Brigham and Women's HospitalのSamuel Z. Goldhaber氏らが、フロリダ州オーランドで開催された第84回米国心臓協会・学術集会(AHA2011)で報告した。

 apixabanは人工股関節置換術(THR)・人工膝関節置換術(TKR)後のVTE予防、および心房細動患者の脳卒中予防において有効性と安全性が認められている。ADOPT試験では、THR・TKR以外の理由で入院した患者に対するVTE予防効果を比較した。ダブルダミー法によるランダム化二重盲検比較試験として、35カ国の302施設で実施された。

 対象症例は、心不全もしくは急性呼吸不全で入院している患者、もしくは感染症、急性リウマチ性疾患、炎症性腸疾患で入院しており、1つ以上のDVTリスク因子(75歳以上、体重指数[BMI]30kg/m2以上、エストロゲン投与中、移動度が室内歩行に制限)がある患者とした。

 VTE確定例、抗凝固療法必要例、抗血小板薬併用療法実施例、クレアチニンクリアランスが30mL/分以上、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)が正常上限値の2倍以上、出血リスクが高いもしくは現在出血中の症例などは除外した。

 これらの条件を満たした患者6528例を、apixaban群(3255例)とエノキサパリン群(3273例)にランダムに割り付けた。apixaban(2.5mg×2回/日)は30日間、退院後も経口投与した。エノキサパリン(40mg×1回/日)は入院中の6~14日間、皮下注射した。

 追跡不能、超音波検査が実施できなかったなどの理由で脱落した症例を除外し、30日後の解析対象となったのは、apixaban群2211例、エノキサパリン群2284例だった。

 ランダム割付時の患者背景は、年齢がapixaban群66.8歳に対しエノキサパリン群66.7歳、男性比率は50%対48%、白人の割合は両群76%、心不全合併例は39%対38%、急性呼吸不全合併例は両群37%、BMIが30kg/m2以上は両群44%、中等度の移動の制限症例が73%対71%、高度の移動の制限症例が26%対28%と、いずれも両群間に有意差はなかった。
 

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