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日本高血圧学会2011
新しいエビデンスを次期ガイドラインに生かす
心房細動、蛋白尿などでのRA系抑制薬の優位性は変わるか

2011/11/15
高橋 浩=メディカルライター

琉球大大学院臨床薬理学の植田真一郎氏

 「高血圧治療ガイドライン2009」(JSH2009)の改訂に伴い、降圧薬の第1選択や積極的適応、併用時の推奨される組み合わせはどう変わるのか――。第34回日本高血圧学会総会(10月20~22日、開催地:宇都宮市)の特別企画「高血圧ガイドラインの検証と展望、JSH201Xへ向けて」で琉球大大学院臨床薬理学の植田真一郎氏は、JSH2009以降に発表された大規模臨床試験などを踏まえ、議論されるべきポイントを示した。

 JSH2009では、いわゆる第1選択薬として、Ca拮抗薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)、ACE阻害薬、利尿薬、β遮断薬の5種類を挙げている。だがβ遮断薬に関しては、第1選択薬から外しているガイドラインもあり、JSH2009をまとめる時も議論となった。

 植田氏は「大規模臨床試験は高齢高血圧患者を対象とすることが多い。だがβ遮断薬は、高齢者では有効性を証明しにくい。適切な臨床試験を組みにくいというリサーチバイアスがある。冠動脈疾患合併例など、β遮断薬が有効な症例があることに留意する必要がある」と指摘した。

 2009年7月に承認された直接的レニン阻害薬のアリスキレンについては、「降圧薬としての有効性や安全性が多くの臨床試験で証明されているが、ほとんどがレニン・アンジオテンシン(RA)系抑制薬との併用で、同薬剤単独の心血管イベント抑制効果が証明しづらい状況にある」としながらも、RA系抑制薬の中では最も長時間作用型であること、レニン活性により薬効評価が可能といった特徴から、「(第1選択薬の)1つの選択肢になり得る」と述べた。

 主要降圧薬の積極的適応についても、議論すべき点は多い。その1つが、心房細動に対するARB/ACE阻害薬の位置づけだ。JSH2009では唯一、ARB/ACE阻害薬が積極的適応となっている。

 しかし、最近発表されたメタ解析でも、左室肥大合併例を対象としたLIFE試験を除くと、RA系抑制薬に一貫した有効性は認められない。除細動後の再発予防効果についても、小規模な臨床試験では有効性を示唆するデータが得られているが、最近報告された過去最大規模のGISSI-AF試験では効果を認めなかった。

 左室機能低下例を対象とした試験では一貫した有効性が見られるが、AF予防効果の検討を主な目的とした試験ではないこと、またAFへの直接的な作用か明確でないことが問題になる。さらに、AFを有する高血圧患者に対するARBの効果を見たACTIVE I試験でも、心血管イベント抑制効果は確認できなかった。
 

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