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日本高血圧学会2011
24時間自由行動下血圧や家庭血圧、どう活用?
高血圧治療のターゲットとしてのエビデンスはまだ不十分

2011/11/08
高橋 浩=メディカルライター

滋賀医科大公衆衛生学の大久保孝義氏

 「24時間自由行動下血圧ABP)や家庭血圧HBP)の測定値、およびそれぞれの変動情報は、心血管(CV)イベントリスクの予測因子になると考えられるが、高血圧治療のターゲットとしての有用性については、まだエビデンスがほとんど認められない」。第34回日本高血圧学会総会(10月20~22日、開催地:宇都宮市)で滋賀医大公衆衛生学の大久保孝義氏は、こう指摘した。

 近年、ABPやHBPといった、診察室以外で測定した血圧の重要性が広く認識されるようになった。外来や検診などで測定される、いわゆる随時血圧に比べ、安定性、再現性に優れるだけでなく、血圧の変動という情報が得られる点で付加価値を持つ可能性がある。わが国は、ABPやHBPに関する研究で世界をリードしており、さまざまなエビデンスを国内外に発信してきた。

 ABP、HBPを用いた大迫研究、HBPを用いたJ-HOME研究、HOMED-BP研究などにかかわってきた大久保氏は、同学会のパネルディスカッション「血圧変動性の新たな視点」で、これまでの報告を基に、各種の血圧値および血圧変動情報がどのような臨床的意義を持つかについて考察した。

 血圧変動情報の意義に関しては、従来主に、ABPを用いた研究によりエビデンスが示されてきた。これに加え近年では、HBPあるいは診察室血圧の意義についても研究成果が報告されるようになった。

 大久保氏はまず、各種血圧値によるCVイベント高リスク患者の予測に関して、診察室血圧、ABPとして得られる24時間血圧、昼間血圧、夜間血圧はいずれも、観察研究の結果から、CVイベント高リスク患者の予測因子として優れていると述べた。

 特に夜間血圧は有用性が高いとし、大迫研究を含む、ABPを用いたコホート研究のメタ解析であるIDACO研究において、夜間血圧が高いほど10年後のCVイベントリスクが有意に上昇した成績を提示した。

 さらに、HBPとして得られる早朝血圧、就寝前血圧、および両者の平均値に関しても、CVイベントリスクとの関係が明らかにされつつある。なかでも早朝血圧は、大久保氏らの検討で、脳卒中リスク予測因子として非常に強力であることが確認された。

 CVイベントリスクとの関係から見た、高血圧治療のターゲットとしての各血圧値の有用性については、世界で初めてHOMED-BP研究において、HBPによる早朝血圧の有用性が示された。しかし、そのほかのHBP各値、ABP各値とも、現時点で有用性を示すエビデンスはない。
 

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