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日本循環器学会2011
心蘇生後の低体温療法、神経学的予後良好は5割
目標深部体温への到達時間で予後に差、J-Pulse-Hypo研究

2011/09/13
軸丸 靖子=医療ライター

国立循環器病研究センターの横山広行氏

 心停止から心拍再開した患者に対する低体温療法は神経学的予後の改善に有効とされるが、至適深部体温や冷却持続時間、復温時間、冷却手法といったノウハウは国際的にも確立していない。

 わが国でのエビデンス構築を目的に行われた「J-Pulse-Hypo研究」の一員、国立循環器病研究センター心臓血管系集中治療科・救急治療科の横山広行氏が、その最終結果を第75回日本循環器学会学術集会(8月3~4日、開催地:横浜市)で報告した。低体温療法が行われた約450例の30日後生存率は80.1%、神経学的予後良好は55.3%だった。

 J-Pulse-Hypoは、院外心停止から蘇生後、低体温療法が施行された患者の予後を追跡する登録研究だ。国内14施設が参加し、2005年1月~09年12月に452例が登録された。欧米で行われた同様の研究では対象になっていない、薬物や大動脈バルーンパンピング(IABP)、経皮的心肺補助(PCPS)によって血行動態の安定が得られた症例も含めたのが特徴で、現在、解析が進められている。今回報告されたのはその基礎的データとなる。

 対象患者は平均58.6歳、男性82.5%。心室細動(VF)/無脈性心室頻拍(pulseless VT)が7割を占めたが、無脈性電気活動(PEA、13.7%)や心静止(asystole、9.1%)症例も含まれた。

 心停止の目撃者は86.7%の症例で存在し、AEDが13.7%に使用されていた。バイスタンダーによる心肺蘇生(CPR)は51.1%だった。64.2%の患者が病院到着前に蘇生していた。心停止から蘇生までの中央値は26分、病院到着までは同32分だった。80.3%に緊急冠動脈造影が、44.7%に冠動脈インターベンション術(PCI)が施行されていた。IABPは40.1%、PCPSは22.6%で使用された。

 心停止から冷却開始までは中央値で82.5分、蘇生から冷却開始までは同57.5分、冷却開始から目標体温到達までは同3時間かかっていた。目標深部体温は平均33.9度だった。

 冷却方法は体表のクーリングが50.4%、体外循環が48.2%となっていた。冷却時間は平均で31.5時間(中央値25時間)。復温時間にはかなりバラツキがあり、24時間以内が28.0%、72時間以上が32.6%となっていた。

 こうした低体温療法の結果、対象患者の30日後生存率は80.1%と良好だった。神経学的な予後は、良好(CPCスコア1~2)が55.3%と欧米の研究と同等だったが、PEAやasystoleも対象に含めていることを考慮すれば、欧米より良好な成績と解釈できた。

 そこでCPCスコア1~2を予後良好群、3以上を不良群として心停止から蘇生までの時間との関係を検討したところ、心停止時間が短いほど神経学的予後は良好だが、30分前後がボーダーラインであり、それ以上になると予後不良群の割合が良好群を上回ることが明らかになった。
 

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