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循環器プレミアム速報
J-CLEAR、ダビガトランの適正使用に関する提言発表

2011/09/05
高志 昌宏

 NPO法人「臨床研究適正評価教育機構」(J-CLEAR、理事長:東京都健康長寿医療センター副院長の桑島巌氏)は8月25日、新規抗凝固薬であるダビガトランとの関連を否定できない重篤な出血事例が相次いで報告されたことから、「新規抗凝固薬の処方にあたってのJ-CLEARからの提言」を発表した。同機構のウェブサイトから閲読できる。

 提言ではまず、「ダビガトランはその適正使用によりわが国の脳卒中予防に大きく貢献すると考えられる」としながらも、「不適正使用ではデメリットがメリットを上回り重篤な大出血あるいは死亡をもたらす危険性も有しているため、 本薬剤が日本人の健康増進に貢献するためにはその適正使用の推進が不可欠と考え」たと、提言発表に至った経緯を説明。

 次いで、ダビガトランを処方する医師に以下のような対応を求めている。

1.インフォームドコンセントの取得

 「処方に当たっては、その利点と欠点の両方を説明し、患者の納得を得ること」とした。利点としては、(1)納豆、大量の野菜などビタミンKを多く含む食品の制限が少ないこと、(2)定期的な採血の必要がないこと、(3)日本人を含む国際大規模臨床試験においてワルファリンに劣らない脳卒中予防効果と安全性が確認されている薬剤であること――を挙げた。

 一方、欠点としては、(1)採血による薬効評価のモニターができないために個々の病状と変化に応じた用量調整が困難なこと、(2)半減期が非常に短いために飲み忘れによって薬効とリスクが大きく変動すること、(3)副作用発現時において対応する拮抗薬がないこと、(4)高価であること(150mg1日2回処方の場合、1日あたり530円)、(5)予測される出血イベントとして重篤な出血は年間約3%、生命に危険を及ぼす出血は約1%、頭蓋内出血は約0.4%にみられること、(6)中等度以上の腎障害(推算糸球体濾過量[eGFR]30-50mL/分/1.73m2)では血中濃度が約3倍になり、出血リスクもさらに高くなる(注)。高度腎障害(eGFR 30mL/分/1.73m2未満)では血中濃度は約6倍にも上昇し、使用禁忌であること、(7)他の抗血小板薬と併用している場合には出血リスクがさらに高まること、(8)75歳以上の高齢者では出血のリスクがさらに高まること――を指摘した。

(注)添付文書ではクレアチニン・クリアランスを用いているが、実臨床ではeGFRの方が実際的であることから、提言ではeGFRを用いたという。

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