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日本糖尿病学会2011
外来随時血圧が良好でも6割が仮面高血圧
家庭血圧を活用して合併症発症前から適切な管理を

2011/06/24
編集部

 糖尿病患者の高血圧治療は、脳心血管イベント予防のみならず腎障害の発症・進行抑制にも効果が期待できる。だが十分な血圧管理に異論はないとしても、実際には「言うは易く行うは難し」であることが大きな問題となっている。

 滋賀医大内分泌代謝・腎臓・神経内科学の宇津貴氏は、第54回日本糖尿病学会年次学術集会(5月19~21日、開催地:札幌市)の教育講演「糖尿病患者における血圧コントロール――合併症予防のための管理のポイント」で、仮面高血圧の頻度や目標降圧値について解説。「血圧管理は家庭血圧値を基に、合併症発症前から継続して行うことが必要」と強調した。

 糖尿病合併高血圧では、130/80mmHgを超えた時点で生活習慣の是正を含めた降圧治療の開始が推奨されている。薬物治療で第一選択となるのは、レニン・アンジオテンシン(RA)系抑制薬だ。

 RA系抑制薬とCa拮抗薬を比較したSMARTで、降圧効果は同等であっても、Ca拮抗薬による降圧はRA系抑制薬投与下でなければ腎保護作用を発揮しないと結論されるなど、糖尿病患者への降圧治療には基礎としてRA系抑制薬が必要なことには一定のコンセンサスが得られている。

 RA系抑制薬で降圧不十分な場合の併用薬については、Ca拮抗薬と利尿薬を比較したACCOMPLISHが、冠動脈疾患の合併抑制にはCa拮抗薬が優位との結果を示した。しかし蛋白尿の低下効果は利尿薬の方が優れており、Ca拮抗薬と利尿薬のどちらが望ましいかは、まだ最終的な結論は出ていない。

 ただ、合併症予防のための降圧治療を考える以前に、「実臨床で一番問題となるのは、血圧コントロールは本当にできているのかという点だ」と宇津氏。

 どの血圧測定値がより鋭敏に心血管イベントを予測するかについては、PAMELAのサブ解析から、外来血圧より家庭血圧、さらに家庭血圧より24時間血圧平均値の方が優れていると報告された。中でも、24時間血圧は高いのに診察室では正常血圧にとどまる「仮面高血圧」の心血管疾患リスクは、既に正常血圧患者の約2倍も高く、注意が必要だ。

 仮面高血圧の出現頻度は、報告によって差があるものの、一般に10%前後とされる。だが2型糖尿病患者では20~40%と、より高頻度に見られる。

 宇津氏らは、自院受診中の糖尿病患者332人を対象に診察室血圧と24時間血圧を測定した。その結果、診察室血圧では6割の患者で血圧コントロール良好だったにもかかわらず、24時間血圧ではコントロールが良好だった患者は3割に満たないことが分かった。

 診察室血圧と24時間血圧の両方ともコントロール良好だったのは332人中65人、仮面高血圧は128人、白衣高血圧29人、両方ともコントロール不良だったのは110人だった。診察室血圧でコントロール良好と考えられている患者のうち、実に6割が仮面高血圧という結果になった。
 

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