経胸壁ドプラ心エコー(TTDE)によって冠動脈血流速度予備能(CFVR)を求めることで、冠動脈の機能的狭窄度の非侵襲的な評価が可能だ。だが、圧ワイヤーを用いる心筋血流予備量比(FFR)との比較は、あまり行われていない。
和歌山県立医大循環器内科の平田久美子氏らは、同科受診患者を対象にCFVRとFFRの虚血検出能を比較。CFVRはFFRよりも、負荷心筋SPECTの虚血診断に近い結果が得られると、第22回日本心エコー図学会学術集会(4月21~23日、開催地:鹿児島市)のシンポジウム「心エコー法による心筋虚血評価の到達点」で報告した。
対象は、同科でカテーテル検査を予定していた狭心症患者85例(男性61例、平均年齢66歳)。心血管リスクは高血圧59%、脂質異常症43%、糖尿病37%、喫煙率21%などだった。
今回の検討では、TTDEによる左冠動脈前下行枝のCFVR測定のあと、24時間以内に心臓カテーテル検査でFFRを測定し、心筋虚血診断のゴールドスタンダードである負荷心筋SPECTの結果をリファレンスに用いて、心筋虚血陽性に対するCFVRとFFRの感度と特異度、正診率を求めた。
心エコーの結果は、左室拡張末期容量が90±27mL、左室収縮末期容量が41±20mL、左室駆出率が59±19%などだった。
アデノシン3リン酸(ATP)の経静脈投与による最大冠拡張時血流速度と安静時の冠動脈血流速度の比から算出したCFVR値は、平均2.3±0.7だった。通常、CFVR値が2.0未満の場合、冠動脈有意狭窄ありと判断する。一方、ATP投与時の狭窄遠位部と大動脈の平均内圧の比から算出したFFR値は平均0.7±0.1で、狭窄率は平均55±12%だった。
負荷心筋SPECTによる虚血の有無別にCFVRを比較したところ、虚血あり群のCFVR値は、虚血なし群に比べ有意に低値だった(P<0.0001)。
負荷心筋SPECTとFFRの比較でも同様に、虚血あり群のFFR値は虚血なし群に比べ有意に低値(P=0.04)だった。
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