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日本血管外科学会2011
重症下肢静脈瘤に対する鏡視下手術SEPS
先進医療対象44例全例で皮膚炎沈静化・潰瘍治癒を確認

2011/05/12
高橋 浩=メディカルライター

たかの橋中央病院の春田直樹氏

 2009年5月に先進医療として承認された、下肢静脈うっ滞性皮膚病変に対する内視鏡下筋膜下不全穿通枝切離術SEPS)。考案者の1人である、たかの橋中央病院(広島市中区)血管外科・内視鏡手術センターの春田直樹氏らが、第39回日本血管外科学会学術総会(4月20~22日、開催地:沖縄県宜野湾市)で、先進医療の対象となった44例44肢における成績を報告。うっ滞性皮膚炎、うっ滞性皮膚潰瘍とも、全例でそれぞれ沈静化、治癒が認められたことを明らかにした。

 下肢静脈瘤は日常診療でしばしば見受けられる疾患だ。わが国は欧米より少ないとされるが、それでも全人口の約9%、1000万人以上の患者がいるという。1次性(原発性)と、深部静脈血栓症などに伴う2次性に分けられるが、ほとんどが1次性だ。どちらも進行に伴い、色素沈着、湿疹、皮膚硬化などの皮膚変化や潰瘍を呈するようになる。

 日本静脈学会が06年に報告した、静脈うっ滞性潰瘍に関する全国アンケート調査によると、下肢静脈瘤の系統的分類法CEAP分類(Clinical signs:臨床徴候、Etiologic classification:病因分類、Anatomic distribution:解剖学的分布、Pathophysiologic dysfunction:病態生理分類)で、臨床徴候はC6(うっ滞性皮膚潰瘍)が81%、病因分類はEp(1次性)が77%を占めた。解剖学的分布では穿通枝(Ap)が関与するものが40%、病態生理分類ではPr(逆流)が84%だった。

 治療法は外科手術が大半の症例に行われ、内訳はストリッピング術(静脈抜去術)57%、高位結紮15%など。不全穿通枝を対象とするSEPSは16%、直達式筋膜下穿通枝切離術Linton手術)は4%に実施されていた。

 下肢静脈瘤の治療法には、(1)弾性包帯や弾性ストッキングによる圧迫療法、(2)瘤内に硬化剤を注入する硬化療法、(3)伏在静脈逆流例に対する結紮術、ストリッピング術および経カテーテル的レーザー治療(EVLT:endovenous laser treatment)などがある。それぞれの手技にメリット・デメリットがあるが、いずれも皮膚変化や潰瘍を呈する重症例では、十分な効果を期待することが難しい。

 皮膚変化や潰瘍を呈する重症の下肢静脈瘤では、穿通枝逆流が重要な原因であり、慢性化や再発のリスク因子でもある。こうした症例の不全穿通枝に対しては、従来よりLinton手術が行われてきた。同手術は皮膚病変部の静脈うっ滞改善には有効だが、これにもさまざまな問題点がある。例えば、血行障害を有する皮膚病変部に新たに大きな傷を加えるために術後切開創が離解してしまう場合があること、新たな潰瘍を招く可能性、治療部位周辺の感染・炎症の可能性、出血などだ。
 

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