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日本心臓血管外科学会2011
外科症例データベース、立ち上がりは順調
2100施設の外科医1万人が参加、4月からは専門医制度との連携も

2011/04/04
軸丸 靖子=医療ライター

東大の宮田裕章氏

 わが国で施行されるすべての外科手術を体系的に把握するために2010年4月から動き出したデータベースNational Clinical Database」(NCD)が、今年4月から専門医制度との連動を始める。日本心臓血管外科専門医制度との連動は12年からだが、それ以降はNCD登録症例しか専門医申請に使えないなど、外科領域で存在感を増してくる。

 第41回日本心臓血管外科学会学術総会(2月23~25日、開催地:千葉県浦安市)の特別企画「National Clinical Database(NCD)の目指すものは」では、NCDのシステム構築にあたる東大医療品質評価学講座の宮田裕章氏が「既に1万人以上のユーザー登録が進んでいる」と現況を説明した。

 新規入局者の減少や中堅医師のドロップアウトによる外科医の急速な減少を背景に、外科領域は医師の適性配置、施設集約化、医療の質評価といった難題への早急な対応を迫られている。NCDはこれらの課題に取り組む上で、議論の土台となるデータを体系的に把握する目的で発足した事業だ。

 NCDの構想が持ち上がったのは09年春と最近のことで、既存の日本心臓血管外科手術データベース(JCVSD)や日本消化器外科学会手術データベースを基にしたシステム構築が急ピッチで進められた。運営母体は行政・企業からは独立した一般社団法人で、参加各学会の理事長や専門医制度の責任者が理事などとして加わっている。

 NCDの基本構造は、外科系の専門医制度と直結する共通部分と、各専門学会による詳細なデータベース部分の2階建てだ。共通部分では、病名や手術日、執刀医名など専門医申請に使われる基本情報が登録される。2階部分では各専門学会がデータベースをさらに発展させることができるほか、臨床研究プロジェクトを立ち上げることも可能だ。NCDは各専門学会データベースの基礎部分をつなげた、「緩やかな連合体」といえる。

 各医療機関にNCDへの症例登録を呼びかける上で最大のインセンティブになるのは、各専門医制度との連携だ。日本外科学会の外科専門医制度は11年4月からNCDに移行することになっており、移行後はNCD登録症例しか専門医申請に使えなくなる。

 日本心臓血管外科専門医では、NCDの充実を待って12年から本格的に移行する。データ入力責任者はJCVSDと同じく各施設の診療科長で、データのトレーサビリティを確保し、検証を可能にしている。
 

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