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日本心臓血管外科学会2011
日本人のAAA、手術適応は瘤径5cm以上が妥当
瘤の成長速度が3.0mm/年以上なら4cm台からの手術も考慮

2011/03/25
軸丸 靖子=医療ライター

東京医大の渡部芳子氏

 日本人における腹部大動脈瘤(AAA)の手術適応は、米国心臓学会(ACC)/米国心臓協会(AHA)の現行ガイドラインより0.5mm小さい5.0cm以上が適当である可能性が、東京医大血管外科の渡部芳子氏らの検討から示唆された。

 同科症例による観察研究の結果で、瘤径が4.5~5cmを超える頃から瘤の成長が特に速くなる傾向が認められたという。渡部氏が、第41回日本心臓血管外科学会学術総会(2月23~25日、開催地:千葉県浦安市)で報告した。

 ACC/AHAガイドライン(2006年)では瘤径5.5cm以上のAAAに対しては手術を(エビデンスレベルB)、瘤径4.0~5.4cmについては6~12カ月ごとに超音波かCTによる検査を行って経過観察することを(同A)推奨している(クラスI)。

 これを受けたわが国のガイドラインは、男性では瘤径5.5cm以上、女性は5.0cm以上からの手術を推奨しているが、欧米人での検討を元にした瘤径をそのまま日本人にあてはめてよいかは検証されていない。

 そこで渡部氏らは、日本人におけるAAAの成長速度と適切な手術時期について検討するため、同科症例による後ろ向きの検討を行った。

 対象は、1999~2009年に同科で扱ったAAAで、(1)瘤径5cm未満、(2)手術ハイリスク、(3)患者の意志――のため手術を行わず、かつ2回以上のCTによる観察が行われていた124例(男性106例、平均年齢73.7歳)とした。

 平均観察期間は3.0年。観察中の瘤破裂はなく、他の病因による死亡は10例あった。観察中に瘤径が5.0cm以上となった、あるいは1年あたり瘤の成長速度が5mm以上であった26例には手術を行った(開腹20例、血管内治療6例)。このうち、術後肺炎による死亡が1例あった。
 

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