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糖尿病学の進歩2011
インスリン抵抗性の新しい指標、EGIR
ウエスト周囲径、TG値、HDL-C値から算出

2011/03/15
高橋 浩=メディカルライター

久留米大の田尻祐司氏

 インスリン抵抗性を簡単に、しかもインスリン分泌低下例や血糖値が非常に高い症例でも評価できる指標が、久留米大内分泌代謝内科の田尻祐司氏らによって考案された。

 インスリン抵抗性評価法のゴールドスタンダードは、高インスリン正常血糖クランプ法におけるブドウ糖注入率(GIR)。これとウエスト周囲径や脂質プロファイルとの間には一定の関連があることに着目して考案された。

 Estimated GIREGIR)と呼ばれるこの指標は、インスリン分泌低下例や血糖値が非常に高い症例も含め、GIRと有意に相関することが確認された。第45回糖尿病学の進歩(2月18~19日、開催地:福岡市)における報告。

 2型糖尿病は、膵β細胞からのインスリン分泌の障害と、インスリン作用の低下、すなわちインスリン抵抗性が相まって生じると考えられている。近年の研究の進歩により、日本人の2型糖尿病は欧米人と異なり、インスリン分泌障害がより特徴的な病態であることが明らかとなった。

 しかし、ここ50年ほどのわが国における爆発的な2型糖尿病増加の背景には、生活習慣の変化がもたらした肥満によるインスリン抵抗性が少なからず関与していると見られている。従って2型糖尿病の病態把握やそれに基づいた治療法検討に際して、患者のインスリン分泌能とともに、インスリン抵抗性を評価することが重要になる。

 インスリン抵抗性の評価法は、直接的に定量する方法と、空腹時の血中インスリン(FIRI)や血糖値(FPG)を用いる間接的な方法に分けられる。直接法には、高インスリン正常血糖クランプ法におけるGIR、経静脈糖負荷(ivGTT)を用いるMinimal Model法、Steady State Plasma GlucoseSSPG)法などがある。

 間接法としては、HOMA-IRQUICKI(Quantitative Insulin Sensitivity Check Index)、75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)時の血糖値やインスリン値(IRI)より作成したComposite IndexMatsuda Index)などが臨床的に用いられている。田尻氏によると、いずれもそれぞれ一長一短がある。

 まず、高インスリン正常血糖クランプ法においてGIRを得る方法は、高インスリン状態を一定時間保持することによって低下する血糖値を、一定に維持するために必要なブドウ糖の注入速度GIRをインスリン抵抗性として評価するもの。30年以上前に考案された方法だが、いまなおインスリン抵抗性評価法のゴールドスタンダードとされる。しかし、煩雑であることが欠点。

 また、最近は人工膵臓を使用することが多いが、その場合は施設が限られる。さらに、高インスリン状態における評価で、症例本来の内因性インスリン感受性を正しく評価できるのかという疑問、あるいは現行のGIRでは肝臓の糖放出を完全にブロックできない可能性が指摘されている。

 Minimal Model法では、頻回の採血とともに、解析ソフトウエアが必要、インスリン感受性を臓器別に評価できないなどの問題がある。SSPG法は比較的簡便だが、高血糖の場合、インスリン抵抗性が過小評価される可能性がある。
 

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