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糖尿病学の進歩2011
糖尿病は骨粗鬆症による骨折の危険因子に
骨密度だけでなく骨質の低下がリスク上昇に関与

2011/03/07
内海 真希

九大大学院の大中佳三氏

 「高齢化に伴い、糖尿病骨粗鬆症はいずれも増加の一途をたどっている。かなりの割合でオーバーラップすることも示唆され、今後大きな課題になっていくと考えられる」――。九大大学院老年医学講師の大中佳三氏は第45回糖尿病学の進歩(2月18~19日、開催地:福岡市)のレクチャーで、骨折予防の観点からの血糖コントロールの重要性を訴えた。

 大中氏はまず、糖尿病と骨密度との関係を調べた研究結果を紹介し、糖尿病と骨粗鬆症の関連性について解説した。骨粗鬆症は、骨密度と骨質の2つの要因からなる「骨強度」の低下を特徴とする疾患。

 1型糖尿病患者では骨量が減少することが以前から知られている一方、2型糖尿病患者では、インスリン投与の有無にかかわらず非糖尿病者に比べて骨密度が高いことが、米国人女性約1万人を対象とした研究で示されている(Schwartz AV, et al. J Clin Endocrinol Metab. 2001;86:32-8)。

 これに関連して大中氏は、九大COEプログラムの一環として現在行われている「福岡コホート研究」の中間結果の一部を報告した。福岡市東区在住の50~74歳の一般市民を対象としたこの研究においても、糖尿病「罹患あり」のグループ(73人)では、「罹患なし」のグループ(1221人)に比べて、骨密度の平均値が高い傾向が認められた(大腿骨はP=0.1334で有意差なし、腰椎はP=0.0025で有意差あり)。

 続いて大中氏は、糖尿病患者の大腿骨頸部骨折リスクに関するメタ解析の結果(Vestergaard P. Osteoporos Int. 2007;18:427-44)を紹介した。同研究で非糖尿病患者を1とした場合の骨折相対リスクは、1型糖尿病で6.94、2型糖尿病で1.38と高くなっていた。さらに、1型・2型糖尿病共に、実際の骨折相対リスクは、骨密度から推定される相対リスクよりも高かった。これを受けて大中氏は、「糖尿病における骨折リスクの増加には、骨密度低下以外の、骨質の低下が関与していると考えられる」とまとめた。
 

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