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循環器プレミアム速報
ワルファリン服用中の観血処置に伴う事故頻発
内服歴や凝固能を把握せず処置を行い出血、JCQHCが注意喚起

2011/02/18
大滝 隆行

 日本医療機能評価機構JCQHC)は2月15日にホームページで公開した「医療安全情報No.51」で、ワルファリンを処方されていた患者に対して、服用状況や凝固能に関する情報を把握せずに観血的処置を行ったため、有害事象が起きた事例が2007年1月1日から10年12月末までに5件報告されたとして、注意喚起を行った。

 ワルファリン服用中の患者が抜歯や手術、生検などの観血的処置を受ける際には、出血のリスクに十分配慮する必要がある。報告された事例のうち4件は、ワルファリン服用歴は把握していたが、凝固能データを確認していなかった。残り1件はワルファリン服用の事実を把握しないまま医師が処置を行い、有害事象が起きてしまった事故。

 JCQHCの「医療安全情報No.51」に記載された舌腫瘍疑い患者の事例では、下肢静脈瘤のためワルファリン3mg/日を服用していた患者に対して、医師は電子カルテ上に凝固能検査中と表示されていたにもかかわらず、組織生検を実施してしまった。患者は帰宅後、口腔内出血を認め、救急外来に再受診。舌および顎下部から頸部に至る血腫を認め、気管挿管および舌動脈の塞栓術などの処置を行った。

 この事例が発生した医療機関では、観血的処置を施行する前は、凝固に関する薬剤の内服状況や、凝固機能に関する検査結果の確認を徹底する取り決めを行った。

 また、同事例を分析したJCQHCの総合評価部会は、「抗凝固薬を使用中の患者の治療・処置の際は、日本循環器学会が公表している『循環器疾患における抗凝固・抗血小板療法に関するガイドライン(2009年改訂版)』の『IV.補足 2 抜歯や手術時の対応』などを参考にする」よう提言している。

 循環器科からワルファリンを処方されている患者が循環器科以外の診療科を受診し、検査や手術を受けることは多い。院内で循環器科医がリーダーシップを取り、ワルファリンの使用・中止基準に関する統一基準を作成し、他診療科にも周知徹底するなどの対策も必要といえそうだ。

 JCQHCの「医療安全情報」は、医療事故の発生予防、再発防止のために、国立病院機構などの全国の医療機関で収集された事故情報事例を総合評価部会の専門家が分析し、作成したもの。厚生労働省の補助による医療事故情報収集等事業として行われている。


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