日経メディカルのロゴ画像

日本総合健診医学会2011
無症候性高尿酸血症は積極治療の対象になるか
心血管イベント予防目的の介入の必要性巡りディベート

2011/02/15
高橋 浩=メディカルライター

東京慈恵医大の細谷龍男氏

 無症候性高尿酸血症の患者に、心血管イベント予防目的の尿酸低下療法は必要か――。

 日本総合健診医学会第39回大会(1月28~29日、開催地:東京都新宿区)のディベート「無症候性高尿酸血症は予防的に治療すべきか、経過観察でよいか」では、東京慈恵医大腎臓・高血圧内科の細谷龍男氏が「必要」とする立場から、一方で帝京大内科の藤森新氏が「時期尚早」とする立場から、それぞれの主張を展開した。

 細谷氏は、高尿酸血症は痛風関節炎、痛風結節や痛風腎の原因となるばかりでなく、高血圧腎不全メタボリックシンドロームなどと密接に関係することから、「無症候性でも血清尿酸値が7.0mg/dLを超えていれば、生活指導を含めた積極的な尿酸コントロールを行ったほうがよい」と指摘。これに対して藤森氏は、尿酸は抗酸化作用を持っていること、低い血清尿酸値がパーキンソン病多発性硬化症などのリスク因子となる可能性が示唆されていることから、「心血管イベントの予防を目的とした、無症候性高尿酸血症に対する薬物療法の推奨は時期尚早」と反論した。

              ◇            ◇

 近年、尿酸を“悪玉”とする研究が、循環器、腎臓、糖・脂質代謝などの領域で増えている。細谷氏は、それらの報告を以下のようにまとめた。

(1)高血圧との関連
 約1200例の男性を平均約10年間追跡すると、40%が高血圧を発症したが、そのリスクは血清尿酸値が7.47mg/dL以上の群では、4.97mg/dL未満の群の約1.5倍と報告された。1992~2007年に発表された10篇の臨床研究のメタ解析でも、高尿酸血症がある場合の高血圧発症リスクは約1.5倍高かった。

(2)腎不全との関連
 約5万人を7年間追跡したわが国のコホート研究における末期腎不全のリスクは、男性の場合、血清尿酸値7.0mg/dL以上群では7.0mg/dL未満群の約2倍に、女性の場合は6.0mg/dL以上群で6.0mg/dL未満群の6倍近くに達した。

 わが国ではさらに、慢性腎臓病(CKD)が当初認められなかった人間ドック男性受診者約7000例を最長10年間追跡すると、血清尿酸値7.1mg/dL以上かつ尿pH 6.0未満(酸性尿)群のCKD発症リスクは、7.1mg/dL未満かつpH 6.0以上群に比べて1.6倍有意に高くなったという報告もある。

 海外でも約2万例の健常成人を7年間追跡した結果、血清尿酸値が高いほど腎疾患新規発症リスクが高く、特に女性や高血圧を合併する場合にこの傾向が顕著だったという。
 

この記事を読んでいる人におすすめ