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日本疫学会2011
肉の摂取量は循環器疾患死亡リスクと関連せず
わが国の大規模コホート研究JACC studyの解析結果より

2011/02/09
高橋 浩=メディカルライター

阪大大学院の長尾匡則氏

 牛肉豚肉鶏肉などの食肉には、飽和脂肪酸が多く含まれる。飽和脂肪酸の過剰な摂取は循環器疾患のリスクを有意に高めるとされるが、食肉の摂取と循環器疾患との関連を調べた研究は少ない。

 そこで阪大大学院公衆衛生学の長尾匡則氏らは、わが国の全国的なコホート研究であるJACC study(The Japan Collaborative Cohort Study for Evaluation of Cancer Risk)のデータを用いて検討。その結果は、食肉の摂取量は循環器疾患の死亡リスクと有意な関連を示さないというものだった。第21回日本疫学会学術総会(1月21~22日、開催地:札幌市)で、同氏が発表した。

 飽和脂肪酸の過剰摂取によって、いわゆる脂肪毒性によるインスリン抵抗性亢進や糖脂質代謝悪化がもたらされ、動脈硬化が促進するとされる。このため、飽和脂肪酸が豊富な食肉の摂取量増加は、動脈硬化性疾患のリスクを高める可能性がある。

 しかし、この点に関する疫学研究は、わが国では行われていない。欧米でも少ないが、牛肉、豚肉、羊肉などのいわゆるred meatよりも、ハム、ソーセージなどの加工肉の摂取量が虚血性心疾患のリスクと正相関するという成績が報告されている。

 長尾氏らは今回、食肉の摂取量と脳心血管系疾患の死亡リスクとの関連について、JACC studyのデータを用いて検討した。JACC studyは、全国45地域の40~79歳の一般住民約12万人を対象に、生活習慣と癌をはじめとする各種疾患との関連を追跡調査した、文部科学省科学研究費による大規模コホート研究。循環器疾患領域ではすでに約20篇の研究報告が発表されている。

 対象は、自記式アンケートで食物摂取に関する記載に不備がなく、かつ癌、脳卒中、心疾患の既往のない約5万人。エネルギー量で調整した食肉全体の摂取量、種類別摂取量をそれぞれ5分位化し、Cox比例ハザードモデルで、摂取量の最も少ない群と比べた性別ごとのハザード比(HR)を求めた。

 アウトカムは虚血性心疾患死亡、脳卒中死亡、脳卒中を含む総循環器疾患死亡で、HRは年齢、体重指数(BMI)、喫煙、飲酒、ストレス、運動、高血圧・糖尿病既往、総エネルギー摂取量などで調整した。
 

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