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日本冠疾患学会2010
DES留置後のDAPT、日本人では6カ月間がメド
Cypher J-PMS、j-Cypher、CREDO-KYOTOなどわが国のデータから考察

2011/01/11
高橋 浩=メディカルライター

国立病院機構京都医療センターの阿部充氏

 薬剤溶出ステント(DES)はベアメタルステント(BMS)よりもステント血栓症のリスクが高いとされ、欧米では留置後1年間、低用量アスピリンとチエノピリジン系薬による抗血小板薬併用療法dual anti-platelet therapyDAPT)が推奨されている。しかしわが国では、必ずしもDAPTを1年間継続する必要はないのではないかという意見が少なくない。

 国立病院機構京都医療センター循環器科の阿部充氏は第24回日本冠疾患学会学術集会(2010年12月10~11日、開催地:東京都千代田区)で、主にわが国のデータと自らの臨床経験を基に分析、日本人におけるDAPTの継続期間は留置後6カ月程度でよい可能性が高いとの見解を示した。

 現在、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の約9割にステント留置が行われており、特にDES使用例の増加が目立つ。DESは再狭窄を劇的に低減させたが、ステント血栓症のリスクがBMSよりも長期間継続することが判明。このため、ステント留置後の抗血小板薬もBMSより長く続ける必要があるとされる。

 この抗血小板療法で議論になっているのが、アスピリンとチエノピリジン系抗血小板薬の併用、すなわちDAPTをいつまで続けるかだ。07年に改訂された米国心臓学会(ACC)/米国心臓協会(AHA)などのガイドラインでは、出血リスクが高くない限り、チエノピリジン系抗血小板薬であるクロピドグレル(75mg/日)を少なくとも1年間はアスピリンに併用して投与することを推奨している。

 しかし、ステント血栓症を含む各種イベントの発生率や薬剤の効果は、人種によって異なる可能性がある。また、イベント発生率にも影響するPCIの技術的レベルも、国によってかなり差がある。わが国のPCIの8割近くは、血管内超音波ガイド下で行われている。ステントの拡張圧は高く、拡張不良が少ない。こうしたことから、わが国独自のDAPT実施期間を設定すべきとの声が高くなっている。

 ちなみに、わが国のCypher市販後調査(10年3月)によると、DAPTの実施率は留置後3カ月までは90%以上だが、その後急速に低下し、1年で55%、2年で45%、3年で41%にとどまる。
 

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