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日本栓子検出と治療学会2010
国内外での新規抗血栓薬の開発状況は
わが国でもダビガトランが今年早くにも承認の見込み(2011.2.16更新)

2011/01/06
高志 昌宏

 新規に開発されている循環器用薬の中で現在最も注目されているのが、抗血栓薬の領域といっていいだろう。本稿では第13回日本栓子検出と治療学会(2010年11月19~20日、開催地:福岡市)のシンポジウムで取り上げられた新規抗血栓薬について、主な開発状況を周辺情報も加えて紹介する。

編集部注:記事公開直後から多くの動きがあったため、2011年2月16日現在での状況を一部追加した


ダビガトラン
 直接的トロンビン阻害薬。人工股関節全置換術または人工膝関節全置換術を施行した成人患者の静脈血栓塞栓症の1次予防を適応として、現在75ヵ国で承認されている(日本未承認)。非弁膜症性心房細動患者の脳卒中および全身性塞栓症の発症予防については、09年の欧州心臓学会(ESC2009)で発表されたRE-LY試験が国際共同第III相臨床試験と位置付けられ、日本を含む44カ国951施設で実施された(関連記事1)。このデータに基づき同適応症については各国の規制当局に承認申請され、米およびカナダでは、それぞれ10年10月に承認された。わが国でも日本ベーリンガーインゲルハイムが承認申請中で、11年早くにも承認される見込み。(追記:わが国でも2011年1月21日に承認

エドキサバン
 選択的第Xa因子阻害薬で、第一三共が開発する。わが国では、下肢整形外科手術後の静脈血栓塞栓症の予防、心房細動患者の脳卒中予防、静脈血栓塞栓症の2次予防を対象に開発が進められている。下肢整形外科手術後の静脈血栓塞栓症の予防については第III相臨床試験が終了し、現在承認申請中。心房細動患者の脳卒中予防に関してはENGAGE AF-TIMI 48試験、また静脈血栓塞栓症の2次予防に関してはHOKUSAI VTE試験が、どちらも日本も加わった国際共同第III相臨床試験として行われている。

リバロキサバン
 選択的第Xa因子阻害薬で、わが国ではバイエル薬品が開発する。下肢の整形外科手術後の静脈血栓塞栓症予防については、既に世界100カ国で承認済み(日本未承認)。心房細動患者の脳卒中予防に関しては、ワルファリン群に対する非劣性を証明した国際共同第III相臨床試験ROCKET AFが、10年の米国心臓学会学術集会(AHA2010)で発表された(関連記事2)。わが国では投与量を調節したJ ROCKET試験が進行しており、11年には結果が明らかになる見込み。静脈血栓塞栓症の治療・予防を目的としたEINSTEIN-DVT試験、EINSTEIN-Extensionの結果も10年の主要学会で発表されている。(追記:2011年1月5日、欧では心房細動患者における脳卒中予防、深部静脈血栓症の治療、深部静脈血栓症および肺塞栓症の再発予防の適応で、米では心房細動患者における脳卒中予防の適応で、それぞれ規制当局に承認申請された

apixaban
 選択的第Xa因子阻害薬で、わが国ではブリストル・マイヤーズ社とファイザー社が共同開発する。対象は深部静脈血栓症の予防・治療、心房細動患者の脳卒中予防。一方、急性冠症候群(ACS)の急性虚血性イベント予防に関しては開発が中止された(関連記事3)。心房細動の脳卒中予防に関しては、ワルファリンと比較したARISTOTLE試験と、ワルファリンに忍容性がない患者を対象にアスピリンと比較したAVERROSE試験が行われた。後者は09年のESCで結果が発表され(関連記事4)、前者も近く結果が明らかになる見込み。(追記:2011年2月10日、米国脳卒中学会[ISC2011]でAVERROES試験の最終結果が発表され、N Engl J Med誌に論文が同時公開された
 

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