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日本栓子検出と治療学会2010
TIAは“急性脳血管症候群”として救急対応を
発症3カ月以内の脳卒中リスクは15%、TIA直後が最も危ない

2010/12/21
高橋 浩=メディカルライター

東京女子医大の内山真一郎氏

 「一過性脳虚血発作TIA)は危険であり、軽視してはならない――」。特に発症直後のTIAは脳卒中の発症リスクが非常に高いことが明らかとなり、救急疾患として直ちに専門医による治療が行われるべきとする考え方が世界的に広まりつつある。

 東京女子医大神経内科の内山真一郎氏は、第13回日本栓子検出と治療学会(11月19~20日、開催地:福岡市)のシンポジウム「TIAの病態と治療」で、TIAを急性虚血性脳卒中と共に、“急性脳血管症候群acute cerebrovascular syndromeACVS)”という新しい疾患概念でとらえ、救急医療の対象とすることの必要性を強調した。

 一過性脳虚血発作(TIA)はこれまで、24時間以内に消失する局所的な脳虚血症状と定義されていた(2009年の米国心臓協会/米国脳卒中協会によるScientific Statementでは、持続時間の記載はなくなった)。実際に、無治療でも症状が短時間で消失してしまう場合が少なくない。このため、患者側・医療側いずれからも軽視されがちだった。しかし最近のさまざまな研究から、TIAの脳卒中発症リスクが非常に高いことが分かってきた。

 内山氏によると、04年に報告された英国のOxford Vascular Studyから、TIA患者の15%近くが3カ月以内に脳卒中を発症し、軽症脳梗塞群と有意差がないこと、またTIA群の脳卒中累積発症率の上昇カーブは、TIA発症直後であるほど急峻であることが示されている。

 さらにOxford Vascular Studyの主要メンバーであるRothwellらは05年、TIA発症後の日数が短いほど脳卒中発症率が高く、1日目(24時間以内)では30%以上に及ぶとした。

 内山氏らも同様に、TIAの既往と脳梗塞との関係を検討している。急性期脳梗塞患者273例を調べると、57例(21%)がTIAの既往を有していた。これらTIA既往例中、脳梗塞発症以前から抗血栓療法を受けていた患者は51%にとどまり、TIAの既往のない群の41%と有意差がなかった。

 退院時転帰不良(modified Rankin Scale:mRS≧4)の割合もTIA既往群では44%と、非既往群の26%に比べて有意に(P=0.007)高率だった。退院時転帰不良をエンドポイントとした多重ロジスティック解析では、入院時NIHSS(NIH Stroke Scale)、心房細動と共に、TIAの既往が有意な(P=0.006)転帰不良因子となっていた。
 

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