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米国心臓協会(AHA)2010
Nアセチルシステイン、造影剤腎症を予防できず
「これまでの報告は試験デザインに問題があった」と演者

2010/12/10
編集部

ブラジルSao Paulo Cardiac HospitalのOtavio Berwanger氏

 造影剤腎症に対するNアセチルシステイン(NAC)の予防効果は、2000年にTepel氏らがN Engl J Med誌に報告して以来、小規模な研究がいくつか報告されている。さらに昨年、Trivedi氏らがAm J Heart誌に報告した1500例規模のメタ解析でも、高用量(1200mg/日または造影直前の600mg投与)は造影剤腎症の発症を有意に抑制するとされた。

 しかし今回、2000例を超える二重盲検ランダム化比較試験(RCT)で検討したところ、NACの腎保護効果はプラセボと変わらないという結論になった。

 ACT(Acetylcysteine for the prevention of Contrast-induced nephropaThy)試験の結果で、ブラジルSao Paulo Cardiac HospitalのOtavio Berwanger氏が、第83回米国心臓協会・学術集会(AHA2010、11月13~17日、開催地:シカゴ)のLate Breaking Clinical Trialsで発表した。

 ACT試験の対象は、血管造影予定患者で腎障害リスクを有する2308例。腎障害リスクは、70歳以上、血清クレアチニン(Cr)値>1.5mg/dL、糖尿病、左室駆出率<45%、ショック既往とされた。実際に最も多かった腎障害リスクは糖尿病の60%で、次いで血清Cr値>1.5mg/dLの16%だった。

 これら2308例(平均年齢68歳、女性比率39%)をNAC群とプラセボ群(どちらも血管造影前後に1200mgを2回ずつ投与)に二重盲検法でランダムに割り付け、経過を追跡した。

 服薬コンプライアンスは良好で、おおむね95%以上の参加者がプロトコール通りに薬剤を服用した。イベント評価にはintention to treat(ITT)解析を用いた。

 補液実施率は、生理食塩水が造影前94%と造影後73%、炭酸水素ナトリウムがそれぞれ5%と29%だった。また高浸透圧の造影剤使用率は22%のみで、75%が低浸透圧、3%は等浸透圧の造影剤を用いていた。

 1次評価項目である造影剤腎症の出現(造影後48~96時間における血清Cr値の25%以上の増加)は、NAC群、プラセボ群とも12.7%と同じ値だった。糖尿病の有無、性別、年齢、試験開始Cr値、造影剤浸透圧で層別化したサブグループ解析でも、NAC群における有意な造影剤腎症の予防効果は認められなかった。

 さらに2次評価項目である血清Cr値0.5mg/dL以上の上昇、血清Cr値の倍増(以上、周術期)、透析導入、総死亡、心血管系死亡(以上、30日発生率)についても、両群間に有意差を認めた項目はなかった。有害事象は、プラセボ群で嘔吐が有意に多かったのを除き、差はなかった。
  

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