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日本栓子検出と治療学会2010
『抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドライン』刊行
歯科領域における“抗血栓薬継続下の抜歯”の浸透を目指す

2010/12/06
高橋 浩=メディカルライター

慶應大の矢郷香氏

 「抗血栓療法を受けている患者に対する抜歯は、抗血栓薬継続下に行うことが望ましい」――。循環器領域では既に2004年以降のガイドラインで示されている指針だが、歯科医師の間では十分浸透していなかった。このため、抜歯時の抗血栓薬継続の必要性と安全性を明記した歯科領域のガイドラインが今年10月に刊行された。

 その概要が、第13回日本栓子検出と治療学会(11月19~20日、開催地:福岡市)のシンポジウム「周術期の抗血栓薬管理」で、慶応大医学部歯科・口腔外科学の矢郷香氏より報告された。同シンポジウムではさらに、抗血栓薬継続下での抜歯の安全性が実際の抜歯症例を対象とした臨床研究で確認できたことを、国立病院機構九州医療センター歯科口腔外科の吉川博政氏が明らかにした。

 日本循環器学会が関連12学会と合同で策定した「循環器疾患における抗凝固・抗血小板療法に関するガイドライン」の2004年版、2009年改訂版では、「抜歯はワルファリンを原疾患に対する至適治療域にコントロールした上で、ワルファリン内服継続下での施行が望ましい」、「抜歯は抗血小板薬の内服継続下での施行が望ましい」とし、それぞれクラス IIa(エビデンス、見解から有用、有効である可能性が高い)、クラス IIa'(エビデンスは不十分であるが、有用、有効であることに本邦の専門医の意見が一致している)で推奨した。

 この指針は循環器領域では広く認識されているが、歯科医師の間では十分浸透していなかった。そこで、歯科領域のガイドラインとして、『科学的根拠に基づく抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドライン2010年版』が、日本有病者歯科医療学会、日本口腔外科学会、日本老年歯科医学会により策定され、10月末に発刊された。

 ガイドライン推進ワーキンググループのグループ長を務めた矢郷氏は、ガイドラインの策定過程や概要について、次のように報告した。

 まず、日本有病者歯科医療学会会員から、抗血栓療法患者の抜歯時に抱く疑問点(Clinical Question:CQ)を公募し、寄せられた23のCQについて文献検索・選択・吟味を行い、アブストラクトフォームを作成。エビデンスレベルを7段階で、推奨グレードを6段階で評価した。外部評価委員より「強く推奨する」という全般評価を得たことから、10月半ばに開催された第55回日本口腔外科学会総会で発表した。
 

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