日経メディカルのロゴ画像

米国心臓協会(AHA)2010
新たなHDL-C増加薬の登場なるか
CETP阻害薬のanacetrapibとApo A1合成促進薬のRVX-208、LBCTに登場

2010/12/01
編集部

米国Brigham and Women's HospitalのChristopher P. Cannon氏

 第83回米国心臓協会・学術集会(AHA2010、11月13~17日、開催地:シカゴ)のLate Breaking Clinical Trialsでは、高比重リポ蛋白コレステロール(HDL-C)増加に関する発表が2題続いた。新しいコレステロールエステル転送蛋白(CETP)阻害薬anacetrapibを用いたDEFINE試験と、経口Apo A1合成促進薬RVX-208を検討したASSERT試験だ。

 anacetrapibは、米国Pfizer社が開発していたtorcetrapibと同じCETP阻害薬に分類される。HDLが低比重リポ蛋白(LDL)や超低比重リポ蛋白(VLDL)にコレステロールエステルを渡し、中性脂肪(TG)を受け取るのを阻害する。その結果、HDLの異化遅延などを介し、HDL-Cが上昇する。

 しかしtorcetrapibは、HDL-Cを著明に増加させながらもILLUSTRATE試験ではプラーク退縮作用は認められず、ILLUMINATE試験では予後改善作用が見られないばかりか、総死亡、心血管死亡が有意に増加し、同薬の開発は中止された。

 その理由の1つとしてtorcetrapibにはアルドステロン増加作用、血圧上昇作用など心血管系に好ましくない作用があり、それが予後を増悪させたという議論があった。逆にいえば、そのような有害作用のないCETP阻害薬は、予後を改善できる可能性がある。このような中、anacetrapibについて、主として安全性に着目したDEFINE試験の結果が報告された。発表者は米国Brigham and Women's HospitalのChristopher P. Cannon氏。

 DEFINE試験の対象は、冠動脈疾患あるいはそれと同等のリスクを有する、スタチン服用下、LDL-Cが50mg/dL以上100mg/dL以下、HDL-C 60mg/dL未満などの条件を満たす1623例(平均年齢63歳)。anacetrapib群とプラセボ群に二重盲検法でランダムに割り付け、76週間追跡した。

 その結果、HDL-Cはanacetrapib群でプラセボ群に比べ相対的に138.1%、有意に増加した(P<0.001)。またLDL-Cも、anacetrapib群で39.8%の有意な減少を認めた(P<0.001)。一方、torcetrapibを投与したILLUMINATE試験で観察されたような、プラセボ群に比べた有意な血圧上昇(同試験では収縮期4.5mmHg、拡張期2.1mmHgの差があった)は、anacetrapibでは認められなかった。同様にアルドステロン濃度(中央値)も、プラセボ群と同等だった。

この記事を読んでいる人におすすめ