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日本認知症学会2010
高血圧と認知症の関連、いまだ不明
主な介入研究やそのメタ解析などから結論

2010/11/24
高橋 浩=メディカルライター

 「高血圧認知症の間に、はっきりした関係は今のところ認められない――」。第29回日本認知症学会学術集会(11月5~7日、開催地:名古屋市)で東北大加齢医学研究所老年医学分野の荒井啓行氏は、主な介入研究やそのメタ解析などから、こう結論付けた。降圧治療が認知症リスクを低下させるというデータが一部の研究で得られているものの、全般的には明確な関連性は現時点で認められないとした。

 最近、高血圧は脳血管性認知症のみならず、アルツハイマー病(AD)の成因にもかかわっている可能性が指摘されている。大規模疫学研究ではどのような関係が認められているのか。

 荒井氏はまず、高血圧と認知症の関係に関するQiuらのレビューを基に、これまでの主な観察研究の結果を整理した。

 横断的観察研究として、高齢期の血圧と認知機能低下の関連を検討した報告は17件あった。うち9件で関連を認めたが、4件は関連を認めず、ほか4件は逆に低血圧と関連があるというものだった。

 高齢期の血圧と認知症との関連を検討した報告は7件あったが、高血圧との関連を認めたものは1件(久山町研究)のみ。しかも、脳血管性認知症との関連であり、ADとは関連しなかった。残る6件中5件は低血圧と関連あり、ほか1件は関連なしとされた。

 縦断的な長期(観察期間25~30年)の前向き観察研究としては、中年期の血圧と老年期になってからの認知機能低下との関連について検討した報告が8件あった。うち7件では高血圧との関連を認めたが、ほか1件は関連を認めなかった。

 中年期の血圧と老年期になってからの認知症との関係については5件の報告があり、4件が関連を認め、1件は関連を認めなかった。これらの結果より、中年期からの長期にわたる高血圧無治療は、老年期における認知機能低下や認知症の原因になり得ることが示唆された。

 老年期の血圧と認知機能低下との関連を見た前向き観察研究(観察期間3~11年)は13件だった。うち7件は高血圧との関連を認め、3件は関連を認めず、ほか3件はU-shapeがあるという結論だった。

 また、老年期の血圧と認知症との関連を見た報告は12件で、うち7件が関連を認めず、2件が高血圧との関連を、ほか3件が低血圧との関連を認めた。これらの結果から、老年期の高血圧は、中年期からの長期にわたる高血圧ほど明確な関連を示さないと考えられた。
 

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