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日本高血圧学会2010
RA系抑制薬は高血圧患者のAF新規発症を抑制
高血圧患者に対するアップストリーム治療の可能性

2010/11/19
宇田川 久美子=メディカルライター

国立循環器病研究センターの堀尾武史氏

 「高血圧治療ガイドライン2009(JSH2009)」では、心房細動(AF)を合併あるいは新規発症が懸念される高血圧患者への降圧治療として、レニン・アンジオテンシン系抑制薬(RA系抑制薬)を推奨する旨が明記されている。しかし、RA系抑制薬によるAF抑制効果については、これを肯定する報告と否定的な報告があり、定まった見解が得られていない。

 そこで国立循環器病研究センター高血圧・腎臓科の堀尾武史氏らは、約1000例の日本人高血圧患者を対象に、AFの新規発症に及ぼすRA系抑制薬の影響を検証。その結果、RA系抑制薬の使用は降圧とは独立したAF抑制効果を持つと結論、第33回日本高血圧学会総会(10月15~17日、開催地:福岡市)で発表した。

 RA系抑制薬によるAF抑制効果を支持するエビデンスとしては、Healeyらのメタ解析(2005)やLIFE試験、VALUE試験などがある。しかし、Healeyらの解析は心不全患者に限られた検討であり、LIFE試験とVALUE試験は後付け解析での成績だ。

 一方、高血圧患者を対象とし、AFの発症を1次エンドポイントとしたGISSI-AF試験では、プラセボとバルサルタンのAF抑制効果に有意差は認められなかった。

 今回の検討で堀尾氏らは、1998~2003年に同科で心エコー検査を受けた本態性高血圧患者の中で、検査時に洞調律であり、発作性AFの既往や心疾患の合併、左室壁運動の異常がなかった患者を平均4.6年追跡し、RA系抑制薬投与とAF新規発症との関係を見た。

 解析対象とした患者は、フォロー中の投薬状況が最終まで確認可能だった患者1022例(平均年齢63±11歳)中、追跡途中で投薬が中止された症例を除き、観察終了時まで少なくとも6カ月以上継続してACE阻害薬またはアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)が投与されていた患者556例(RA系抑制薬投与群)と、観察期間を通じてRA系抑制薬の投与がなかった患者408例(非投与群)。
 

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