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日本高血圧学会2010
高血圧治療ガイドライン、次期改訂で何が変わる
合併例や高齢者の降圧目標、薬剤選択基準、家庭血圧などが候補に

2010/11/18
宇田川 久美子=メディカルライター

阪大大学院の楽木宏実氏

 「糖尿病腎障害を合併した高血圧症例に対する、より厳格な降圧目標は必要か」、「後期高齢者段階的降圧は妥当か」、「β遮断薬第1選択薬に残すべきか」、「同じ種類の降圧薬間での違いは」、「降圧薬併用時、推奨される組み合わせはどう変わるか」、「家庭血圧の測定条件と判定基準は」――。

 第33回日本高血圧学会総会(10月15~17日、開催地:福岡市)のシンポジウム「JSH2009はどこまで浸透したか?その問題点は?」で阪大大学院老年・腎臓内科学の楽木宏実氏は、現ガイドラインが積み残した課題や、その後に国内外で発表された新しい知見を紹介するとともに、次回改訂作業を踏まえ行うべきことを提案した。

 「高血圧治療ガイドライン2009」(JSH2009)の発表から3カ月が経過した09年4月、次回の改訂作業に向けて継続的に議論すべき案件や、見直し・拡充が求められる事項を確認するため、ガイドライン作成委員会による検討会が開催された。

 検討会ではまず、ガイドラインの作成過程のありかたについて、委員会内の意見を確認した。今回のような透明性の高い作成過程を継続しつつ、査読体制や関連学会との協力体制、一般からの意見公募方式や利益相反マネジメントシステムの整備、エビデンスの検証などについては、さらなる整備や強化が必要との点で意見の一致をみた。

 さらに、JSH2009で結論に至らず継続審議となった項目や、外部から要望が寄せられた項目も整理した。継続審議となったのは、(1)家庭血圧の測定条件と判定基準、(2)リスク層別化の考え方、(3)虚血性心疾患患者や脳卒中患者、高齢者の降圧目標値――の3項目。

 また委員以外から、生活習慣指導の具体的記述、およびコントロール不良・治療抵抗性に関する詳細な記述がほしいとの意見が寄せられ、同様に今後の課題とされた。2次性高血圧についての詳細な記述を望む声もあったが、JSH2009が一般医家向けという性質を持つことから、これは専門医向けの解説で対応することにした。

 新たなエビデンスの登場に伴い、現時点で既に見直しが必要となった記載もある。その1つが、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)とACE阻害薬が、心房細動の予防に対して積極的適応となっていること。薬理学的にはその可能性が提唱されていたが、大規模臨床試験で相次いで否定的な結果が出たことから、改訂で積極的適応から外される可能性がある。

 推奨する併用療法の組み合わせについても、欧米の高血圧関連学会・団体が提唱するガイドラインの動向や国内外の新たなエビデンスを踏まえ、修正が加えられる見込み。継続審議だった降圧目標値についても同様だ。
 

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