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日本高血圧学会2010
注目される腎交感神経除神経術、その機序は
学会交流委員会でわが国への早期導入について検討開始

2010/11/01
宇田川 久美子=メディカルライター

名古屋市立大大学院の木村玄次郎氏

 治療抵抗性の高血圧に対する新たな治療法として、カテーテルアブレーションによる腎交感神経除神経術が脚光を浴びている。今年6月に欧州高血圧学会(ESH2010)で報告された臨床試験SYMPLICITY HTN-1の2年成績によると、アブレーション1カ月後より認められた著明な降圧効果は、2年後も持続していた。

 名古屋市立大大学院心臓・腎高血圧内科学の木村玄次郎氏が、第33回日本高血圧学会総会(10月15~17日、開催地:福岡市)の特別企画「高血圧の成因への新しいアプローチ」の中で、この新たな治療法の概要と推察される降圧機序について解説、その将来展望を語った。

 本治療法は、経皮的に挿入したカテーテルを腎動脈まで進め、腎動脈の周囲を取り囲むように走行する腎交感神経を高周波で焼灼して物理的に除神経してしまうというもの。

 腎交感神経は腎動脈の外膜内を走行しているので、血管内腔からの焼灼では血管壁を損傷しかねない。だが神経細胞は熱に弱いため、血管壁に大きなダメージを与えない温度で神経の除去が可能になるという。

 ただし、腎動脈を1カ所で全周性に焼灼するのは避け、部位を少しずつずらして12時方向から3時方向まで、3時方向から6時方向までといった具合に4~6分割して焼灼する。それだけの手間をかけても、両側の腎交感神経の焼灼に要する時間は40分以内ですむという。

 なぜ、腎交感神経の切除が降圧につながるのか。木村氏は、(1)レニン分泌の促進、(2)尿細管におけるNa再吸収促進・尿中Na排泄減少、(3)血管収縮を介した腎血流量の低下――という腎交感神経系の3つの作用のうち、3番目の血管系への作用の阻害がカギであると推測する。

 その理由の第1は、腎交感神経を切除した高血圧ラットの圧・利尿曲線をみると、傾きは変わらないままで全体が左に平行移動していること。つまり、食塩感受性は変わらないのに、より低い腎灌流圧でNaが排泄されるようになることである。

 この事実を説明するには、除神経前に亢進していた輸入細動脈の血管抵抗が除神経によって解除されたと考えることが合理的だ。
 

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