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日本心不全学会2010
CHFへのβ遮断薬投与、女性や高齢者で低い傾向
ステージC/Dでも投与されていない症例の4割に心不全入院歴あり

2010/10/27
高橋 浩=メディカルライター

東北大大学院の三浦正暢氏

 わが国の慢性心不全治療においてβ遮断薬は、比較的若年、男性、心不全入院歴あり、低心機能、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)高値、心室頻拍といった背景を有する症例には積極的に使用されているが、心不全入院歴があっても女性や高齢者への使用は敬遠される傾向にあることが分かった。東北大大学院循環器病態学の三浦正暢氏が、第14回日本心不全学会学術集会(10月7~9日、開催地:東京都新宿区)で発表した。

 慢性心不全に対するβ遮断薬の有効性は、約10年前に発表された海外の大規模臨床試験で確認されている。ビソプロロールを用いたCIBIS-II試験、メトプロロールを用いたMERIT-HF試験、カルベジロールを用いたCOPERNICUS試験などだ。

 いずれも総死亡の相対リスクを35%程度、有意に低下させる成績が得られた。これらの試験結果を踏まえ、米国心臓学会/米国心臓協会(ACC/AHA)のガイドラインでは、心不全のステージB(無症候)からの使用を推奨している。

 わが国で行われ2004年に発表されたMUCHA(Multicenter Carvedilol Heart Failure Dose Assessment)試験は、軽症~中等症の慢性心不全患者に対するカルベジロールの有効性を評価したもの。海外の試験に比べて投与量は明らかに少なかったが、総死亡または心血管系の原因による入院のリスクは5mg/日投与群で71%、20mg/日投与群で80%も低下した。

 さらに2009年に発表されたJ-CHF(Japanese Chronic Heart Failure)試験では、カルベジロール2.5mg/日、5mg/日、20mg/日の3群間で、1次エンドポイントである死亡+心血管疾患あるいは心不全による入院のリスクに有意差はなく、2.5mg/日という少量でも有効であることが示された。

 このようにβ遮断薬は、日本人の心不全患者では少量でも有効であることが明らかになっているが、β遮断薬が積極的に投与されていない患者は今も少なくないといわれる。年齢、血圧、不整脈、呼吸機能といった患者要因や外来で使用しにくいことなどから、投与を躊躇してしまうようだ。
 

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