日経メディカルのロゴ画像

日本心臓病学会2010
慢性心不全の管理に欠かせないキーワードとは
地域で得られる医療資源に合わせたシステムづくりが大切

2010/10/25
軸丸 靖子=医療ライター

兵庫県立尼崎病院の佐藤幸人氏

 入退院を繰り返す慢性心不全(CHF)患者では、病診連携を含めたチーム医療による急性増悪させない日常管理が重要になる。第58回日本心臓病学会学術集会(9月17~19日、開催地:東京都千代田区)のコメディカル教育セッション「心不全と急性冠症候群の見方」では、循環器プレミアム・ブログ「現場に活かす臨床研究」の著者でもある兵庫県立尼崎病院循環器内科の佐藤幸人氏が登壇。

 佐藤氏は、マンパワーや設備が限られる一般病院での慢性心不全管理のポイントを、(1)チーム医療の“共通言語”となるバイオマーカーの活用、(2)ガイドライン推奨薬の処方率向上、(3)頻回の再入院を回避する手段としての外来点滴療法、(4)低栄養になりがちな高齢CHF患者への適切な介入――という4つのキーワードに集約した。

 その上で、「個々の患者の背景や地域で得られる医療資源がそれぞれ異なるため、これが正解というシステムはない。各施設がそれぞれの事情に合わせて工夫し、独自のシステムを作ることが大切だ」とし、コメディカルを含めたチーム医療の充実に期待を寄せた。

KeyWord 1●BNP、NT-proBNPの活用

 病診連携でのCHF管理を容易にするバイオマーカーとして佐藤氏が提案するのは、脳性ナトリウム利尿ペプチドBNP)またはBNP前駆体N端フラグメントNT-proBNP)検査の活用だ。「BNPで100~200pg/mL、NT-proBNPで500~1000pg/mLを超えるようなら専門医の受診が必要など、チーム内の意思統一を図れる指標といえる」と佐藤氏。

 慣れた医師ならばBNPを用いずともCHF悪化の診断はできる。だが、プライマリケアの現場では心不全悪化の判断が付きにくいことが多い。BNPを指標として管理を行った方が、臨床指標だけを用いた管理に比べ、CHF患者の入院や死亡のイベント発生率が有意に少ないという臨床研究があるなど、CHFの診断に慣れていない医師にとっては、BNPによるガイドは有意義な介入方法だ(関連記事1)。

 もちろん、退院後の管理のモニタリングにも有用となる。診察室で測定結果が得られるBNPの迅速測定機器も販売されており、利用価値が高い。
 

この記事を読んでいる人におすすめ